最新記事

図書館

2019年、米国人は映画へ行くより足繁く図書館通い

2020年2月6日(木)17時10分
松丸さとみ

ニューヨーク公共図書館 adamkaz-iStock

<アメリカで映画やコンサートといった文化的な娯楽やアクティビティについて、この1年間でどの程度の頻度で行ったかを尋ねた......>

図書館は年間10.5回、映画館は5.3回

米国人は2019年、映画よりもコンサートよりも、図書館に足繁く通った──こんな調査結果が明らかになった。

この調査は、米ギャラップが2019年12月上旬、18歳以上の1025人を対象に行ったもの。映画やコンサートといった文化的な娯楽やアクティビティについて、この1年間でどの程度の頻度で行ったかを尋ねた。もっとも頻度が高かったのは図書館で、通った回数は1人あたり平均で10.5回だった。2位の映画館での映画鑑賞(5.3回)、3位のスポーツ観戦(4.7回)のほぼ倍だった。

男女別に見ると、どちらも図書館が1位ではあったものの、通った回数は女性が年間13.4回と、男性の7.5回の倍近くになった。一方で男性で目立ったのが、国立公園・歴史公園へ行く(男性は4.9回、女性は2.4回)や、スポーツ観戦(男性は5.7回、女性は3.7回)、カジノ(男性は3.4回、女性は1.7回)だった。

図書館通いはまた、年齢が若い層で多く、18〜29歳は年間15.5回と、もっとも少ない50〜64歳の年間6.8回の倍以上となった。これは、年齢層が若い人たちの中には学生も含まれ、学校の勉強のために図書館通いをしている人もいるせいではないかと見られている。一方で、この年齢層はカジノに行った頻度も、年間4.4回と他の年齢層と比べもっとも多かった。カジノへ行く頻度がもっとも少なかった年齢層は65歳以上で、年間平均1.4回。

年齢別で見ると、このような文化的な娯楽施設へ通う頻度がもっとも高かったのは30〜49歳の層だったが、これについてギャラップは、この世代は金銭的に安定しているためではないかとしている。

低所得者ほど頻繁な図書館通いとカジノ通い

こうした文化的な娯楽施設へ通う頻度は、収入の度合いでも違いが見られた。概して、収入が多い人たちは、娯楽やアクティビティの頻度は高くなる。これは、コンサートやスポーツ・イベントのチケット代が高価になることからも、当然といえる。

一方で図書館は、収入が低い人たちほど通う頻度が高く、収入が高くなるにつれ頻度は減った。年収4万ドル(約439万円)未満の人たちが図書館に通った回数は年間平均で12.2回、年収4万〜9万9999ドル(約439万〜1098万円)は10.4回、10万ドル(約1098万円)以上は8.5回だった。

ギャラップは、図書館は無料で利用できることや、Wi-Fiといった本以外のサービスが利用できることなどが、低所得者の利用頻度が高い理由だろうと分析している。前述の通り、収入が多くなるほど娯楽やアクティビティの頻度は増えるが、図書館とカジノ、動物園は、どの層よりも低所得者層の利用頻度が高かった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン主要濃縮施設の遠心分離機、「深刻な損傷」の公

ワールド

欧州委、米の10%関税受け入れ報道を一蹴 現段階で

ワールド

G7、移民密輸対策で制裁検討 犯罪者標的=草案文書

ワールド

トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中