最新記事

通信業界

ファーウェイはなぜ米FCCを提訴したのか?

Huawei Lawsuit: Why is the Chinese Tech Giant Suing the FCC?

2019年12月6日(金)18時27分
ドーン・ゲスク

利益度外視で米農村部に投資しようとする会社はファーウェイの他にはそうないと主張 Aly Song-REUTERS

<「安保上の脅威」を理由に米通信事業者が補助金でファーウェイ製品を調達することを禁止したのは偏見だと主張>

中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)は5日、地方通信事業者が国の補助金を使って同社製品を購入することを禁じた米連邦通信委員会(FCC)の決定は法律に違反しているとしてアメリカの裁判所に提訴した。

ファーウェイによれば、FCCは同社を国家安全保障上の脅威に指定した際に「法の適正手続きによる保護」を同社に与えなかった。このため禁止措置は「違法」になるという。

FCCは11月、ファーウェイと中国政府の関係に対する懸念から、通信業者への補助金プログラムから同社を排除した。トランプ政権も5月に同社をブラックリストに掲載、米企業が適切な認可なしに同社と取引することを禁止した。

ファーウェイは、FCCの恣意的な認定は根拠もなければ適切な証拠や正当な論拠、分析にも欠け、合衆国憲法など複数の法律に違反していると主張している。

ファーウェイはまた、FCCは同社が提起した反論や事実を無視しているばかりか、補助金プログラムからの排除が農村部の住民や企業に与える影響について、地方の通信業者が21回にわたって詳細に説明した内容も無視していると主張した。

地方の通信事業者が倒産する恐れ?

「中国系の企業だという理由だけでファーフェイのような企業を排除することは、サイバーセキュリティ上の課題の解決につながらない」と、ファーウェイの宋柳平・最高法務責任者最高法務責任者は記者会見で述べた。

「モンタナやケンタッキーの小さな町やワイオミングの農場といったアメリカ各地の地方の通信事業者がファーウェイをパートナーとして選んだのは、わが社の機器の品質を高く評価したからだ」と宋は述べた。「FCCはアメリカの農村部をつなぐことを目指した(通信事業者との)合同の努力を断ち切るべきではない」

宋はまた、ファーウェイは地形上の悪条件や少ない人口といった問題にも関わらず、米農村部での事業に前向きな数少ない企業の1つだと述べた。また、FCCのファーウェイ排除政策により数億ドルのコストが生じ、一部の小規模な通信事業者は倒産に追い込まれるかも知れないと主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米サステナブルファンド、1─3月は過去最大の資金流

ビジネス

北京市、国産AIチップ購入を支援へ 27年までに完

ビジネス

デンソー、今期営業利益予想は87%増 合理化など寄

ビジネス

S&P、ボーイングの格付け見通し引き下げ ジャンク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中