最新記事

香港

米議会、香港人権法案可決の意味 失う「特別な都市」の地位

2019年11月24日(日)12時35分

米議会下院は、中国の香港に対する介入をけん制するための「香港人権・民主主義法案」を可決した。関係者の話では、トランプ大統領が数日中に法案に署名する見通しだ。写真は星条旗を掲げる香港のデモ隊。9月20日撮影(2019年 ロイター/Jorge Silva)

米議会下院は20日、中国の香港に対する介入をけん制するための「香港人権・民主主義法案」を可決した。関係者の話では、トランプ大統領が数日中に法案に署名する見通しだ。

香港では民主化や自治を要求する人々の抗議活動が5カ月余りも続いており、足元では騒乱がエスカレートしているため、中国政府が鎮圧に向けてより強硬な手段を講じるのではないかとの懸念が出ている。

こうした中で香港人権・民主主義法案は、米国が香港に特別な地位を付与し続けるべきかどうかを「一国二制度」が保証される度合いと結びつける意味合いがある。同時に米下院では、デモ隊に対して使われる催涙ガスやゴム弾などの香港への輸出を禁止する法案も承認された。

次はどうなる

これら2つの法案が米議会の上院と下院を通過し、ホワイトハウスに送られた。事情に詳しい複数の関係者は、トランプ氏が署名するとみている。

トランプ氏は拒否権を行使しない限り、10日以内に署名することが求められる。拒否権が発動されると、上下両院それぞれの3分の2が賛成した場合のみこれを覆すことができる。上院のウェブサイトによると、トランプ氏は就任以来6回、拒否権を行使した。

正式に法令化されれば、国務省が少なくとも年1回、米国が香港に通商上の優遇措置を与えるのが妥当なほど香港の自治が維持されているかどうかを確認する。香港で起きた人権侵害の責任者には、米国への入国禁止や資産凍結などの制裁が科せられる。

この法案は象徴的との見方が多いものの、施行されれば米国と香港の関係を一変させ、香港が中国本土の都市と同じ扱いになる可能性も秘めている。

最も重要な問題は中国が1997年に英国から香港を返還された際に、50年間にわたって香港に「非常に高度な自治」を認めると約束したことだ。米国はこれに基づき、香港に特別な地位を付与した92年の法律を維持している。だが抗議をしている人々の主張では、香港の自由はじわじわと損なわれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日韓首脳、17日にカナダで会談へ=韓国大統領府

ビジネス

中国自動車メーカー、ゼロエミッション車市場でリード

ビジネス

国債補完供給、減額措置の要件緩和の対象銘柄を拡充=

ビジネス

JERA、新たなLNG契約締結必要 電力需要対応で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 9
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 10
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中