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米議会、香港人権法案可決の意味 失う「特別な都市」の地位

2019年11月24日(日)12時35分

中国は激怒

中国は香港人権・民主主義法案に関し、露骨な内政干渉であり国際法違反だと強く非難した。このため正式な法令となれば米中関係はさらに緊迫し、貿易協議に悪影響を及ぼす恐れがある。[nL3N2812P3]

一部の専門家は、米国は香港に特別な地位を与えることが自らのメリットにもなっていただけに、そうした扱いをやめるのは自滅行為だと指摘する。実際、香港が単なる中国の港湾都市の1つになれば、香港と中国だけでなく米国の企業も痛手を受け、香港を仲介役や中継地として利用していた企業は取引を他の地域に移行する公算が大きい。

香港の特別な地位の重要性

ビジネスの観点で香港に与えられている特別な地位の最も重要な要素の1つは、中国とは別個の関税と貿易のゾーンとみなされている点だ。つまり現在米国が導入している対中関税も、香港からの輸出には適用されない。

米国務省によると、昨年時点で香港には8万5000人の米国人が居住し、ほぼ全ての大手金融機関を含めて1300余りの米企業が事業を展開していた。香港は対米法務・会計サービスの主要な輸出地域であり、米国のモノの貿易黒字額は311億ドルと国・地域別で最大を記録した。

米通商代表部(USTR)のデータを見ると、昨年の米国と香港の貿易額は推定673億ドル、また米国の対香港の貿易黒字額は338億ドルとやはり国・地域別で最も大きい。

在香港米国商業会議所は、香港の特別な地位に何らかの変更を加えれば、米国の対香港貿易と投資を冷え込ませるばかりか、世界経済で信頼されてきた香港のポジションについて国際的にマイナスのシグナルを送ることになると警告している。

[上海 ロイター]


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