最新記事

原発事故

韓国、福島第1原発の汚染水放出に関し日本へ情報開示求める

2019年11月20日(水)17時25分

韓国の原子力委員会は、日本政府が東京電力の福島第1原発の汚染水放出に関する情報開示に消極的なことが、影響を最小限にとどめようとする近隣慮国の取り組みの障害になっていると指摘した。写真は韓国チョナンで2009年3月撮影(2019年 ロイター/Jo Yong-Hak)

韓国の原子力委員会は20日、日本政府が東京電力の福島第1原発の汚染水放出に関する情報開示に消極的なことが、影響を最小限にとどめようとする近隣慮国の取り組みの障害になっていると指摘した。

福島第1原発は、2011年の東日本大震災の津波で損壊し、複数の原子炉が炉心溶融(メルトダウン)を起こした。原子炉に残る核燃料を冷やすために使われた、放射性物質を含む汚染水がタンクの保管されているが、そのタンクが2022年に満杯になると予想されている。

日本政府は、汚染水の処理方法についてまだ決定を下していないが、原田義昭環境相兼内閣府特命担当大臣(原子力防災)は9月に、汚染水を太平洋に放出しなければならなくなるとの見方を示している。

韓国原子力委員会のUhm Jae-sik委員長はロイターに「これまで日本の汚染水問題を国際社会に提起して影響を最小限に抑えようとしてきた。しかし、われわれがシミュレーションや調査をするのに必要となる具体的な計画やプロセスを日本は一切示していない」と述べた。

福島第1原発の問題に加え、韓国では2012年に原子炉部品を巡る不正で原発が運転停止となる事態となり、原子力エネルギーの安全性に対する懸念が強まった。このため、韓国は長期目標として脱原発を掲げている。

Uhm委員長は「政府のエネルギー政策が変更されるかどうかに関係なく、われわれの最優先目標は原発の安全を確保することだ」と語った。

韓国では原子炉が25基あり、総発電量の約3分の1を発電している。

[ソウル 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

景気一致指数3月は4カ月ぶりマイナス、部品工場事故

ワールド

中国の1─4月鉄鋼輸出は過去最高、関税見越した前倒

ワールド

台湾総統、新ローマ教皇プレボスト枢機卿に祝辞 中国

ワールド

中国レアアース輸出、4月は前月比-15.6% 輸出
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中