最新記事

予測

冗談なの? 20年後のデスクワーカーの姿を予測した人形が過激すぎて話題に

2019年10月29日(火)18時00分
松岡由希子

20年後のデスクワーカーの姿を予測した等身大モデル「エマ」- Fellowes

<20年後、人々の身体がどのように変化するおそれがあるのかを予測した等身大の人形の姿が過激すぎて話題に......>

酷い猫背に丸々と太った腹、足はむくみ、カサカサの肌で、目は充血している──。20年後のデスクワーカーの姿を予測した等身大モデル「エマ」が公開され、そのグロテスクな容姿が話題となっている。

20年後、人々の身体がどのように変化するおそれがあるのか

「エマ」は、オフィス製品メーカーのフェローズが行動未来学者のウィリアム・ハイアム氏ら、人間工学や労働衛生などに精通する専門家とともに実施した調査をもとに「デスクワーカーの働き方や職場環境が改善されなければ、20年後、人々の身体がどのように変化するおそれがあるのか」を表現したものだ。

姿勢の悪い状態が長時間続くと猫背になり、長時間座りっぱなしだと、運動不足で腹部が丸く太り、血流が悪くなって足の静脈がこぶ状に浮き出る「下肢静脈瘤」になってしまう。コンピュータスクリーンを長時間見つづけるとドライアイになって目が充血し、同じ動作の繰り返しによって手首が腫れる。また、オフィスの人工照明に長時間さらされて肌が荒れ、劣悪な空気環境で鼻毛や耳毛が伸びる。ストレス性の湿疹を発症することもある。

調査チームでは、1日6時間程度、ほぼ座りっぱなしで仕事をしている英国、フランス、ドイツのデスクワーカー約3000名を対象にアンケートを実施した。その結果、回答者の50%が眼精疲労、49%が腰痛、48%が頭痛に悩まされており、およそ7割が薬剤に頼って症状を緩和させていることがわかった。また、回答者の25%以上が職場環境の改善をすでに求めているが、十分な対策はまだ講じられていない。

いうまでもなく、職場環境は、労働生産性や収益性にも大きな影響を及ぼす。従業員の病気に伴う生産性低下により、英国では年間770億ポンド(約10兆7900億円)規模の損失が出ており、ドイツでも750億ユーロ(約9兆円)規模の損失が出ているとみられる。また、フランスでは、従業員が年間17日、病気休暇をとっている。

1日6時間程度、ほぼ座りっぱなしで仕事をしている

調査チームは、このような調査結果をふまえ、デスクワーカーには、定期的に休憩を取ることや、座りっぱなしにならずに適度に動くことを勧めている。また、企業側に対し、職場での健康管理の一環として、人間工学に基づいたデスクや椅子などを導入し、最適な仕事場を備えることで、デスクワーカーの健康維持につなげるべきだと説く。

調査レポートをまとめたハイアム氏は、英紙インディペンデントの取材において「一連の調査結果は、労働環境の改善に向けて、企業と労働者がただちに行動すべきであることを示している。職場での生活を大胆に変えなければ、オフィスで健康を害してしまう」と警鐘を鳴らしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中