最新記事

国連総会

ベネズエラの美人外交官、トランプ演説に読書で抵抗

Venezuela Diplomat Reads Book During Trump's U.N. Speech Attacking Country

2019年9月26日(木)14時10分
トム・オコナー

トランプ演説中、ベネズエラを解放した革命家についての本を読んで見せるロドリゲス Daniela Rodríguez/TWITTER

<国連演説でベネズエラのマドゥロ大統領や社会主義体制を激しくけなしたトランプに「無視」アピール>

ドナルド・トランプ米大統領は9月24日に国連総会で演説を行った際、ベネズエラを激しく批判した。だが会場にいたベネズエラ代表はその間、これみよがしにずっと本をめくり続けた。

ベネズエラでは1月、ニコラス・マドゥロ大統領の独裁体制に対する反発が高まり、大規模な反政府デモが展開されるなど大混乱に陥った。野党指導者フアン・グアイド国会議長が自ら暫定大統領就任を宣言し、アメリカはグアイド率いる代理政府支持を表明。以降、米政府は政治的にも経済的にもマドゥロ政権に「最大限の圧力」をかけており、トランプは24日の演説でもその継続を宣言した。

「独裁者マドゥロは、キューバのボディガードに守られたキューバの操り人形だ。キューバは自国の共産主義体制を維持するためにベネズエラの石油資源を略奪している」とトランプは言った。「私が前回ここで演説を行って以降、アメリカをはじめとする55カ国がベネズエラの代理政府を承認した」

中南米左派はマドゥロを支持

「悪夢の中にいるベネズエラ国民には、アメリカがあなた方の味方だと知って欲しい」と、トランプは続けた。だがベネズエラ代表のダニエラ・ロドリゲスはその呼びかけを無視し、ベネズエラの革命家、シモン・ボリバルに関する本を読み続けた。ボリバルはラテンアメリカ独立運動の指導者で、ベネズエラの与党・統一社会党のイデオロギーの生みの親とされている。

<参考記事>国家崩壊ベネズエラ、アメリカは遂に力でマドゥロを排除するか

中南米とヨーロッパの多くの国をはじめ、アメリカと緊密な関係にあるその他の国々もグアイドを支持しているが、ボリビアやキューバ、メキシコやニカラグアといった中南米の左派の国々は今もマドゥロを支持している。ロシア、中国、イランや南アフリカなどもマドゥロ支持だ。アメリカは国連に対して、マドゥロ政権から加盟国資格をはく奪すべきと主張しているが、国連は今もマドゥロ政権の承認を取り消しておらず、ニューヨークで開催中の国連総会では、マドゥロ率いる政府とグアイド率いる代理政府、双方の代表団がそれぞれの主張を展開する。

<参考記事>「国家崩壊」寸前、ベネズエラ国民を苦しめる社会主義の失敗

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米9月PPI、前年比2.7%上昇 エネルギー高と関

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、10月は1.9%上昇 ローン

ビジネス

米9月小売売上高0.2%増、予想下回る 消費失速を

ワールド

欧州司法裁、同性婚の域内承認命じる ポーランドを批
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中