最新記事

「死ぬ権利」合法化を──幇助自殺の英国人男性、最期のメッセージ

2019年9月11日(水)19時15分
松丸さとみ

しかし5ニュースは、死の幇助の合法化に向けた一般市民の支援は高まっているとしている。ディグニティ・イン・ダイイングのサラ・ウォットン最高責任者は5ニュースに対し、合法化されている他国を挙げ、英国は遅れていると指摘している。

テレグラフによると、安楽死はオランダ、ベルギー、コロンビア、ルクセンブルクで合法となっている。幇助自殺はオーストリア、ベルギー、スイス、ドイツ、韓国、ルクセンブルク、オランダ、カナダ、フィンランド、そして米国の7州で合法だ。

オーストラリアでは州によって異なる。今年6月にビクトリア州は、オーストラリアで初めて死の幇助を合法化した。西オーストラリア州でも、下院で今月4日、死の幇助を合法とする法案に59人中44人が賛成票を投じ、これを可決した。合法化まではまだ複数のハードルが待ち構えており、上院での投票は非常に厳しいものとなるだろうと豪公共放送ABCは報じている。

合法化された場所でも議論

しかしすでに合法化された場所でも、議論は続いている。8月1日に幇助自殺が合法化されたばかりの米ニュージャージー州では、地元の医師がこの法律を無効にする訴えを起こした。裁判所は同月14日にこれを受け入れ、一旦この法律を禁止処分とした。

治療するという医師の義務に反することと、ユダヤ教徒である自分の宗教観に反するというのが、医師の主張だ。しかし同月27日、控訴審で医師の訴えが退けられ、幇助自殺は再び合法となった。医師は即日控訴しており、ヒンズー教徒の薬剤師も原告に加わっている。次回の公判は、10月23日の予定だ(NJ.com)。

CNNによると、米国で幇助自殺は、コロンビア特別区、ハワイ州、メイン州、ニュージャージー州、オレゴン州、バーモント州、ワシントン州では個人が選択できるものとして法律で定められている。モンタナ州とカリフォルニア州では、裁判所の決定に基づき可能となる。ただしいずれの場合も、不治の病で余命半年以下でなくてはならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、米通商代表と16日にニューデリーで貿易交渉

ビジネス

コアウィーブ、売れ残りクラウド容量をエヌビディアが

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト

ビジネス

米アルファベット、時価総額が初の3兆ドル突破 AI
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中