最新記事

白人至上主義

「OK」のサインは白人至上主義のシンボルになったので、一般の方はご注意下さい

'OK' Hand Gesture Added to ADL Extremist Symbol List

2019年9月27日(金)15時30分
イワン・パーマー

トランプがこのサインをよく使うのも、白人至上主義者に広がった理由 Mohammed Ameen-REUTERS

<3本指を立てた格好が「WP(ホワイトパワー)」の文字に見えるからと白人至上主義者の間で人気になったというが、そのうちピースサインも使えなくなる?>

反差別を掲げるユダヤ系団体、名誉毀損防止連盟(ADL)は、親指と人差し指で輪をつくる「OK」のサインを「ヘイト(憎悪)のシンボル」としてデータベースに追加した。

ほかにも、動画と差別的なスピーチを組み合わせたミーム「ムーンマン」(2ページ目に動画)や、2015年にサウスカロライナ州の教会で乱射事件を起こした白人至上主義者ディラン・ルーフ死刑囚のボウルカット(おかっぱ頭)(2ページ目に写真)などが同データベースに追加登録された。

このデータベース「ヘイト・オン・ディスプレイ」には、極右や白人至上主義者が使う画像やスローガン、シンボルが登録されており、ADLは今回、新たに36のミームを追加したと発表した。

<参考記事>銃乱射を同性愛のせいにするアメリカの懲りない白人至上主義者

「OKサイン」がヘイトのシンボルとなったきっかけは、ネット上の匿名掲示板「4Chan」でオルタナ右翼たちが悪ノリで始めたキャンペーンだった。

彼らは2017年に同掲示板で「オペレーションO-KKK」を立ち上げた。リベラル派やメディアに、ドナルド・トランプ大統領もよく演説中に使うこのOKサインが白人至上主義の「秘密の合図」だと思い込ませたのだ。親指と人差し指で輪をつくって残り3本の指を立てると「ホワイト・パワー」を意味する「WP」の文字に見えるから、白人至上主義者を自称するジェスチャーだという訳だ。

高校の卒業アルバムが台無し

ADLが指摘したように、このでっち上げが大々的に広まり、遂には白人至上主義への支持表明のジェスチャーとして使われ始めた。ニュージーランドのクライストチャーチにあるモスクで銃を乱射し、51人を殺した罪に問われているオーストラリア人のブレントン・タラント被告は、初めて出廷した際に笑顔でOKサインのジェスチャーをしてみせた。

5月には、シカゴのオークパーク・アンド・リバーフォレスト高校が、2018年度の卒業アルバムを作り直すと発表した。生徒たちがOKサインのポーズを取って写っている写真が複数含まれていたというのが理由だ。

同高校の責任者であるジョイリン・プルイットアダムズはこの一件について、生徒たちが白人至上主義に同調する意思を示したものだと批判するつもりはないと説明。ただ、このジェスチャーが将来、極右と関連づけられる可能性を懸念したと述べた。OKサインの写真をアルバムにすることで、生徒たちの将来に悪影響が及び、「大学や雇用主などから疑われたり、罰せられたりする」ことになる可能性があると彼女は語った。

<参考記事>黒人差別の「ブラックフェイス」、なぜ今も米国で政治に影響与えるタブーであり続けるのか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中