最新記事

白人至上主義

「OK」のサインは白人至上主義のシンボルになったので、一般の方はご注意下さい

'OK' Hand Gesture Added to ADL Extremist Symbol List

2019年9月27日(金)15時30分
イワン・パーマー

ADLのリストに追加されたそのほかのミームには、2015年にサウスカロライナ州チャールストンにある黒人教会で銃を乱射し、9人を殺害したディラン・ルーフのボウルカット(おかっぱ頭)が含まれている。彼と同じ髪型にすることで、彼への支持や尊敬の念を表明する人々がいるためだ。

webw190927-white02.jpg2017年8月にバージニア州シャーロッツビルで開かれた極右集会「ユナイト・ザ・ライト」に参加した、白人至上主義者のクリストファー・キャントウェルは、極右ソーシャルネットワークのGabに、ルーフと同じ髪型に合成加工した自分の画像を投稿していた。

キャントウェルは、同SNS上で公然とルーフを称賛する白人至上主義者の集まり「ボウル・ギャング」や、ルーフの支持者が不定期に放送しているポッドキャストの番組「ボウルキャスト」などともつながりがあった。

「危険信号として役立てて欲しい」

ユダヤ人男性を差別的に描いた風刺漫画「ハッピー・マーシャント」も、ADLのデータベースに追加された。ADLはこの風刺画について、「白人至上主義者の間で群を抜いて人気がある反ユダヤ的なミーム」だと説明している。

かつてマクドナルドの広告に登場した人種差別主義者のラッパーを彷彿とさせる「ムーンマン」も、ADLのデータベースに追加された。「ムーンマン」は、このラッパーの動画と人種差別的なスピーチを組み合わせたミームだ。

ADL過激主義センターのマーク・ピットキャベジ上級研究員は、「これらはヘイト(憎悪)を表現する新たなシンボルだ」と語った。「一部のシンボルは一時的な流行で終わるが、独り歩きをしてオンライン・トロール(荒らし)のツールになるシンボルもある。ADLではそのように影響力を持ち続けるシンボルや、オンラインから現実世界へと広まったシンボルに特に注目している」

ADLは2000年以降、独自のデータベースを作成して発表している。過激主義や反ユダヤ主義に対する人々の関心を高めることが、その目的だ。

「過激主義者たちは、定期的に新しいシンボルやミーム、スローガンをつくって、自分たちの憎悪に満ちた感情を表現している」と、ADLのジョナサン・グリーンブラットCEOは言う。

「コミュニティーや学校が危険信号として役立てることができるように、司法当局や一般市民に、こうしたシンボルの意味をきちんと知らせる必要があると考えている」

それにしても、OKサインがネオナチへの支持を示すサインになってしまうとは危ないことこの上ない。既存のシンボルへの浸食はいつ止まるのか。

どんどん増える白人至上主義のシンボル

(翻訳:森美歩)

20191001issue_cover200.jpg
※10月1日号(9月25日発売)は、「2020 サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財務省、今後数四半期の国債発行額据え置きへ ガイ

ビジネス

ノバルティス、米レグラスを最大17億ドルで買収へ 

ワールド

原油先物小幅に上昇、サウジの増産観測で前日は急落

ワールド

カナダ、ウクライナ支援継続を強調 両首脳が電話会談
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中