最新記事

銃社会

銃乱射を同性愛のせいにするアメリカの懲りない白人至上主義者

Calls Grow for GOP Rep to Quit for Blaming Dayton Shooting on Gay Marriage

2019年8月7日(水)18時40分
ブレンダン・コール

ホワイトハウス前でレインボーカラーのサインを掲げて白人至上主義に抗議する男性(8月6日) Kevin Lamarque-REUTERS

<銃乱射は「伝統的な家族の崩壊のせい」即ち「同性愛やトランスジェンダーのせい」と言った議員に同じ共和党からも辞任を求める声が>

オハイオ州のキャンディス・ケラー下院議員(共和党)に対して、辞任を求める声が高まっている。同州デイトンで8月4日未明に起きた銃乱射事件に関して、「同性婚」や「娯楽用大麻」を認めたせいだ、とフェイスブックに投稿したのだ。

この銃乱射事件では、9人の死者が出た。デイトンから50キロほど南西にあるバトラー郡選出の州下院議員であるケラーは、この事件が起きた原因として、「正当な手続きを経て選ばれた大統領を受け入れられない愚かな左翼の連中」や「神の大切さを全く認めない」文化など、さまざまな要素を挙げた。

ケラーはシンシナティ・エンクワイアラー紙の取材に対し、自分の投稿だと認めた。今は削除されたこの投稿の中で、ケラーは「伝統的なアメリカ的家庭の崩壊」を嘆き、それを「トランスジェンダー、同性婚、ドラァグクイーン」のせいにした。

ケラー議員(写真)の辞任を求めるツイート


デイトンでの銃乱射事件の前日には、テキサス州エルパソのウォルマートの店舗でも銃乱射事件が起き、少なくとも22名が死亡した。

ケラーの投稿は怒りを呼び、同議員と同じ共和党所属の議員からも非難の声が上がっている。その1人、オハイオ州ハミルトンの副市長を務めるマイケル・ライアンはツイッターで、同議員の投稿を「ばかげている」と批判した。

「フェイスブックにこんな投稿を書いている時間があれば、銃乱射を防ぐための法案を起草するのに使った方がよほど有意義だ」とライアンは書く。「自分以外の誰かを名指しして責めても、何もいいことはない。さらなる分断を作り出すだけだ」

中絶をナチスの所業に例えたことも

バトラー郡のリチャード・ジョーンズ保安官やオハイオ州共和党のジェーン・ティムケン委員長も、ケラーに議員辞職を求めている。ティムケンはケラーの投稿を「あまりにショッキング。とても正当化できない」と非難した。

デイトン市長のナン・ウェイリーも、ケラーは「辞職すべき」とツイートした。「どこの出身でも、同性愛でも、どんな出で立ちでも、デイトンは歓迎する」

民主党のウェイリーは公然とトランプも批判し、この憎悪と分断は「彼の撒いた種だから、彼が刈り取るべきだ」とも語った。

歌手のリッキー・ダビラは30万人近いフォロワーたちに向け、ツイッターでこう呼びかけた。「これこそが白人至上主義者たちをあおり、僕たち黒人を死に追いやるヘイトスピーチだ」

ケラーはかつて人工妊娠中絶手術などを行う全米家族計画連盟(PPFA)をナチスに例えるなど、これまでにも問題発言があった。2020年の選挙では州上院議員に立候補する予定だと、シンシナティ・エンクワイアラーは伝えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アイリスオーヤマ、ライフドリンクC株を連日買い増し

ビジネス

中東情勢、5月までに終結なら影響限定 年末株価6万

ビジネス

アドテスト、ユーロ円建てCB1000億円 半導体検

ビジネス

日経平均は急反発、2675円高 中東情勢の早期収束
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 5
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 6
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中