最新記事

為替

トランプ、突然「問題は中国にはない」――中国では「どうしたの?」

2019年8月9日(金)19時02分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

米FOMC定例会合の後、記者会見するパウエルFRB議長(7月31日)  Sarah Silbiger-REUTERS

8月7日、トランプ大統領は「米国経済の問題は中国にはなくFRBにある」とツイートし、FRBに更なる利下げを要求した。中国では「どうしたの?」と衝撃が走る。突然の中国への為替操作国認定の原因が判明した。

トランプ大統領が「問題は中国にはない」とツイート

8月8日の真夜中から、中国のネットには「どうしたの?トランプ」という見出しの報道が溢れた。

特に中国共産党の内部消息を伝える「参考消息」が「何が起きたのか?トランプが突然、『我々の問題は中国にはない』と言っている」という見出しの報道をしているので、何ごとかと思って見てみたところ、とんでもないことが起きていた。

トランプ大統領が現地時間の7日(日本時間では8日)に「アメリカの経済発展の問題はアメリカ中央銀行の機能であるFRBにあるのであって、決して中国にあるのではない」とツイートしたという(FRB:Federal Reserve Board。連邦準備制度理事会)。

参考消息はさらに、8日のロシア衛星通信社のウェブサイトに載っている情報に基づいて、以下のように報道している。

●トランプは「FRB金利政策を加速し、そのばかげた量的引き締め政策を停止する努力を強化すべきだ」と述べた。

●ロイター通信によると、トランプは7日、「FRBが米国を、他国との競争で競争力のあるものにするために、より速く金利を引き下げなければならない」と述べた。

●トランプは数ヶ月前からFRB議長とFRBの政策立案者に米国経済を支援するために金利を引き下げるよう求めてきた。

●最近、トランプは突然、中国の輸入品に新しい関税を課したが、それがFRBに別の問題をもたらした。そのためFRBはさらに金利を引き下げるところに追い込まれている。

こういったトランプ大統領のFRBに対する口先介入を受けて、8月5日、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がOPINION欄で"America Needs an Independent Fed" (アメリカは独立した連邦準備制度を必要としている) という主張を掲載していることを知った。FED(フェッド)とはFederal Reserve System(フェデラル・リザーブ・システム)の略で、「連邦準備制度」のことを指し、FRBはその意思決定機関である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ダライ・ラマ、「輪廻転生」制度を存続 後継選定で中

ワールド

豪小売売上高、5月は前月比0.2%増と低調 8日の

ビジネス

豪カンタス航空、600万人分の顧客データベースにサ

ワールド

英国へのボート難民、上半期で過去最多約2万人 昨年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 8
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中