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中国経済

排ガス新基準で中国の自動車販売台数が大ブレーキ、きっかけは「汚染との戦い」

2019年7月8日(月)11時15分

大気汚染への批判

中国では大気汚染が市民の不満の大きな原因になっており、政府は5年前に「汚染との戦い」を宣言。過去40年間の急激な経済成長がもたらした環境へのダメージを緩和しようとしている。

この目標に向け、政府は電気自動車の導入を積極的に推進しており、「国6」排ガス基準は世界で最も厳しいものと見られている。

政府は昨年、汚染対策への取組みを強化し、地方当局に対し「国6」基準を前倒しで実施するよう促した。この流れに最初に乗ったのは南部の海南省で、2018年11月にも実施する方針を表明した。

これを受けて、実施時期の前倒しに着手した他の省や都市からも発表が相次いだ。ただし前倒しの時期は今年1月から7月までさまざまで、地元ディーラーから「在庫をさばけない」という苦情を受けて延期したところも、海南省など複数あった。

結果として混乱が生じ、当局は先月ようやく、「国5」適合車の購入者はその車を転売できることを明確にした。

売れ残った「国5」適合車をまだ新基準が実施されていない他の都市や省に輸送するためのコストはディーラーが負担しなければならない。一方で自動車メーカーは、新基準実施に合わせて「国6」適合車の発売を急ぐという厄介な課題に取り組まなければならなかった。

中国汽車工業協会の上級幹部であるシー・ジャンフア氏は6月の記者会見で、「なぜ自動車メーカーは、基準に合わせて新製品の製造・発売を調整することを許されないのか」と、不満を口にした。

シー氏は、珍しく政府の動きを批判する形で、「『国6』基準の実施日は決まっていた。それなのに、なぜメーカー各社が十分な余裕を持てないような形で前倒しするのか」と述べた。

自動車メーカーとしては、新基準に適合するためにエンジン技術に根本的な変更を加える必要は必ずしもないが、触媒を追加し、排ガスや粒子状物質を捕らえるようなフィルターシステムの改善が求められる。技術者らがロイターに語ったところでは、こうした変更のためには、設計と実現のために数年を要する場合もあるという。

中国で勤務する米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の技術者は、「問題は、既存のエンジンの設計に組み込む具体的なコンポーネントを設計するために必要なコストと時間だ」と述べた。

複数の業界関係者によれば、ある車種について認証を得るためのプロセスには6カ月─1年かかる場合があり、中国自動車技術研究センター(CATARC)などの自動車検査機関は、急激な検査需要の増大に対応できるほどの設備を持っていないという。

CATARCにコメントを求めたが回答は得られなかった。

つまり、自動車メーカーの側では、期待よりも少ない「国6」適合車しか作れていないということを意味する。

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