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シリアの核施設を空爆で破壊せよ

Taking Out Syria’s Nuclear Potential

2019年6月28日(金)15時40分
ヤーコブ・カッツ(エルサレム・ポスト紙編集主幹)

イスラエルは既に場所を特定したと、ダガンは言った。建設中の核施設はシリア北東部の砂漠の奥深く、ユーフラテス川沿いのデリゾールという地域に隠されているという。

以前からチェイニーは北朝鮮とシリアの関係を情報機関に探らせていた。01年には、武装組織やならず者国家が闇市場で核製造技術を売買する危険性を警告している。

アメリカの情報機関はダガンがホワイトハウスに来る数カ月前、チョンがシリアの首都ダマスカスを頻繁に訪れている事実を突き止めていた。寧辺原子炉の責任者であるチョンは監視リストに入っている。チェイニーは情報機関の報告を受ける際、そこでチョンが何をしているか、それが核開発をめぐるシリアと北朝鮮の協力を示唆するものかどうかを担当者に尋ねた。

返ってくる答えは、いつもノーだった。両国がミサイル技術で協力していることは分かっているが、核兵器で協力している証拠はないというのだ。

しかしダガンの情報は、チェイニーの直感が正しかったことを実証した。おまけに、北朝鮮は核に関するノウハウを提供していただけでなく、シリアで原子炉を建設していたのだ。

07年8月のある夜、輸送用ヘリ「CH53シースタリオン」2機がレーダーに捉えられないように低空飛行していた。機内には、いつものM16自動小銃の代わりにAK47(カラシニコフ)を携えてシリア軍兵士に変装した特殊部隊員たちが乗っていた。

イスラエル国防軍(IDF)情報部(略称「アマン」)のトップであるアモス・ヤドリンが立案した計画に基づき、最精鋭の特殊部隊「サイェレット・マトカル」がシリアに送り込まれた。部隊に課された使命は、原子炉にできるだけ接近し、写真を撮影して、土壌のサンプルを持ち帰ること。ただし、イスラエルの兵士がそこにいたことは、誰にも知られてはならなかった。

モサドが入手していた現場の写真は多くが数年前のものだったし、人工衛星が日々送ってくる画像でも正確な状況は把握できなかった。イスラエルは、原子炉に燃料棒が運び込まれているかを知りたかった。それが分かれば、原子炉が稼働開始にどのくらい近づいているかが明らかになる。

サイェレット・マトカルの隊員たちは原子炉の近くまで来ると、プラスチックの箱に土やほこり、植物を採取した。探していたのは、ウランのかすかな痕跡だ。原子炉が建設されれば、近くにウランが散らばる。

このミッション自体は、ものの数分で完了した。その後、別の兵士が小さなほうきのような道具を持ち出し、自分たちが活動した痕跡を全て取り除いた。何も後に残すわけにはいかなかった。

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