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シリアの核施設を空爆で破壊せよ

Taking Out Syria’s Nuclear Potential

2019年6月28日(金)15時40分
ヤーコブ・カッツ(エルサレム・ポスト紙編集主幹)

原子炉を空爆で破壊されたがアサドはあえて反応しなかった(写真は13年1月にアサドが首都ダマスカスで行った演説) Sana-REUTERS

<米情報機関さえ気付かなかった砂漠の「北朝鮮製」原子炉――07年のイスラエルによるシリア核施設攻撃はこうして実行された>

シリアが砂漠の中に建設していた原子炉を、誰にも知られずに破壊する――イスラエルの秘密ミッションの詳細を描いた、エルサレム・ポスト紙編集主幹ヤーコブ・カッツの新著『シャドー・ストライク(Shadow Strike)』から内容を抜粋して掲載。

◇ ◇ ◇


07年4月中旬、頭の薄い小太りの男が杖を突きながらホワイトハウスの西棟に入ってきた。携行する小さなブリーフケースには、書類のフォルダーが乱雑に詰め込まれている。

警備担当には既に指示が出ていた。公式訪問者名簿に男の名前を記録しないこと、そして国家安全保障問題担当大統領補佐官スティーブン・ハドリーの部屋へ秘密裏に案内すること──。

室内では、ハドリー本人に加えて2人の人物が男を待っていた。1人は副補佐官のエリオット・エイブラムズ。もう1人は、驚くべきことにディック・チェイニー副大統領だった。

3人が出迎えた男はメイル・ダガン。泣く子も黙るイスラエルの情報機関モサドの長官だ。

数日前、イスラエルのエフド・オルメルト首相がジョージ・W・ブッシュ米大統領に電話をかけ、ダガンが重要な情報を持ってワシントンに行くと伝えていた。「会っていただけるとありがたい」

異例の要請にブッシュと側近たちは驚いた。一国の指導者が自国の情報機関トップとの単独会見を大統領に要請することはまずない。会うにしても、きちんとした外交慣例にのっとって手続きを進めるのが常識だ。

そのため側近たちは、まずスタッフがダガンに会い、問題の情報を評価した上で、必要なら大統領に会わせることにした。

チェイニーはこの訪問について説明を受け、自分から同席を決めた。以前からダガンを知っていたし、オルメルトの特別な要請を考えれば緊急事態に違いないと判断したからだ。

ダガンはソファに腰を下ろすと、単刀直入に言った。「シリアが原子炉を建設している。シリアの核兵器開発計画も、核兵器の保有も容認できない」

ダガンは数十枚のカラー写真を取り出し、テーブルに置いた。チェイニーが1枚を手に取り、ハドリーとエイブラムズは別の写真を取った。

建設中のコンクリートの建物であることは、はっきりと分かった。大きなパイプが内部に設置されている。これはプルトニウムを生産するための黒鉛減速ガス冷却炉で、構造は北朝鮮の寧辺(ニョンビョン)の原子炉とほぼ同じだと、ダガンは言った。外側のコンクリートの建物は内部を隠すためのカムフラージュだという。

アメリカ側の3人は言葉を失い、ダガンの写真の説明に聞き入った。そのうちの1枚で、2人の男がコンクリート構造物の前でポーズを取っている。1人はアジア系で、青いジャージーを着ていた。隣に立っているのはシリア原子力委員会の責任者イブラヒム・オスマンだと、ダガンは言った。

稼働開始はもう間もなく

次にダガンは別の写真を見せた。同じアジア系の男が写っているが、今度はスーツ姿。3人はぴんときた。先日、北朝鮮の核開発を止めるために開かれた6カ国協議の写真だ。この男はチョン・チブという名の科学者で、寧辺原子炉の責任者の1人だと、ダガンは言った。

驚天動地の情報だった。アメリカは証拠どころか、手掛かりさえつかんでいなかった。北朝鮮が最初の地下核実験を行ったのは、半年前の06年10月。核兵器保有の野望は誰もが知っていたが、北朝鮮による核技術の拡散とシリアの核武装支援を示唆する情報は皆無だった。

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