最新記事

サミット

G20大阪サミット、目立つ参加国の亀裂 首脳宣言よりトランプ=習近平会談が目玉?

2019年6月25日(火)14時57分

大阪市で28日から開催される20カ国・地域(G20)首脳会談(サミット)では、議長国・日本の力量が問われる。写真はハンブルクで開催されたG20で用意された米中両国の国旗。2017年7月に撮影(2019年 ロイター/Carlos Barria)

大阪市で28日から開催される20カ国・地域(G20)首脳会談(サミット)では、議長国・日本の力量が問われる。「反保護主義」や世界貿易機関(WTO)改革など主要議題で参加国の意見対立が鮮明となり、合意形成になお距離があるためだ。一方、世界のマーケットが注目するのは大阪で開かれる米中首脳会談で、その動向次第では、G20サミットの成果がかすんでしまう展開もありそうだ。

G20会合はプラスチックごみ削減など議論

日本にとって初となるG20サミットは、安倍晋三首相が外交手腕を発揮する格好の舞台として注目されている。

ただ、サミット開催が直前に迫っても、国際的な主要課題で参加国が合意に至った分野は「極めて限られている」(関係筋)という。

たとえば、「反保護主義」のテーマでは、今月8、9日に福岡市で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の声明に「保護主義と闘う」との文言は盛り込まれなかった。今回のサミットでも、反保護主義への言及に米国が反対するとみられ、議長国・日本の調整の行方が注目されている。

WTO改革でも、各国の主張が食い違う。日米欧は、中国を念頭に産業補助金などの規制強化を求めている一方、中国は反発。日本はWTO上級委員会が福島などの水産物禁輸措置を認める判断を下したのを踏まえ、上級委員会による紛争解決に関する改革を目指しているが、米国は上級委員会の権限強化に消極的とされる。

安倍首相が今年1月、スイス・ダボスで提唱した「信頼性のある自由なデータ流通」といった概念に基づいて、国境を越えた自由なデータ流通なども議論される見通し。

米国や中国の巨大IT(情報技術)企業によるビッグデータの囲い込みなどをけん制する狙いがある。

ただ、関係筋によると、米国は中国が一方的にデータを吸い上げかねないとして、この問題で慎重姿勢を維持。欧州は個人のプライバシー保護を重視する姿勢で、議論への影響が注目される。

こうした中で、相対的に意見が一致しやすい海洋プラスチックごみの削減問題では、15━16日のエネルギー・環境閣僚会合において削減に向けた行動計画の継続的実行への枠組みを日本が提案。サミットでも一定程度の合意が期待されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米陸軍、ドローン100万機購入へ ウクライナ戦闘踏

ビジネス

米消費者の1年先インフレ期待低下、雇用に懸念も=N

ワールド

ロシア、アフリカから1400人超の戦闘員投入 ウク

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中