最新記事

イギリス

EU懐疑派か単なる日和見か 英首相候補B.ジョンソンの変転するEU観

2019年6月18日(火)11時21分

英与党・保守党の次期党首の有力補候補と見られているボリス・ジョンソン前外相は、欧州連合(EU)からの離脱を訴えるキャンペーンの「顔」だった。ロンドンの自宅を出るジョンソン氏(2019年 ロイター/Hannah McKay)

英与党・保守党の次期党首の有力補候補と見られているボリス・ジョンソン前外相は、欧州連合(EU)からの離脱を訴えるキャンペーンの「顔」だった。

だがジョンソン氏は、英国とEUの望ましい関係について、過去に矛盾する発言をしている。

これまでの主な発言を振り返った。

●2003年、自身がEUのファンであると発言

「私が超欧州懐疑派ということは全くない。ある意味では、ちょっとしたEUファンだ。もしEUがなかったとしても、われわれは似たようなものを発明しただろう」と英議会に語った。

●2013年、EU離脱は英国の問題の解決にならないと指摘

「われわれの問題のほとんどは、ブリュッセルのせいではなく、慢性的な英国の短期主義や不適切なマネジメント、怠惰やスキルの低さ、一時の満足を追うカルチャー、そして人的・物的資源やインフラへの投資不足からきている」と英紙デイリー・テレグラフに寄稿。

●2014年、EUを動物に例えるなら何かと同紙に聞かれて

「EUは、例えるならロブスターだ。EUはその仕組み自体、参加国に夕食会の場でロブスターを注文させるようにできている。会計は誰か他の国、通常ドイツが、支払ってくれると知っているのだ」

●2016年2月、国民投票を控え同紙に寄せたが掲載されなかったコラムで、EU残留を支持した理由について

「(EUは)すぐ手が届く市場であり、英国企業はもっと開発することができる。こうしたアクセスの割に、会費は比較的安い。なぜそれほど頑固に離脱したがるのか」と記した。ブレグジットを描いた書籍「オール・アウト・ウォー(全面戦争)」が明らかにした。

●2016年2月に同紙に寄せたコラムで、EU離脱支持に転じた理由について

「EUは公共政策のほとんど全ての領域に侵食してきており、ゆっくりと、目に見えない法的植民地化のプロセスが始まっている」とジョンソン氏は執筆。「こうしたEUルールの中には、単純にばかげているものもある。ティーバッグをリサイクルしてはいけないとか、8歳以下の子どもは風船を膨らませてはいけないだとか、掃除機の吸引力の上限などだ」

●2016年2月、同紙に寄せたコラムで、EUとの望ましい関係について

「私は実は欧州支持だ。クロワッサンをたらふく食べ、美味しいコーヒーを飲み、外国語を学んで外国人の女性と仲良くできるような欧州コミュニティなら大歓迎だ」

●2014年に出版した著書「チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力」で、EUがローマ帝国以降で最長の平和を達成できたことについて

「欧州共同体、今のEUは、(ローマの)アントニヌス朝時代以降で最も長い平和と繁栄の期間をもたらすことに一役買った」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ

ワールド

全米で反トランプ氏デモ、「王はいらない」 数百万人

ビジネス

アングル:中国の飲食店がシンガポールに殺到、海外展
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中