最新記事

選挙

インドネシア、現職ジョコ大統領再選 対立候補は「不正選挙」訴え緊張高まる

2019年5月21日(火)20時49分
大塚智彦(PanAsiaNews)

インドネシア大統領選を巡る公式開票結果で再選が確認されたジョコ大統領(写真)は、全国民のリーダーになると表明した。ジャカルタで4月撮影(2019年 ロイター/WILLY KURNIAWAN)

<1カ月にわたる開票作業の結果、現職再選となったインドネシア大統領選。5年前と同じ結果に納得できない勢力の不満はどんな形で噴出するか──>

インドネシアの総選挙管理委員会(KPU)は4月17日に投票が行われて開票作業を続けてきた大統領選挙の開票を終え、5月21日、現職のジョコ・ウィドド大統領(57)が勝利したことを正式に発表した。

開票率100%でジョコ・ウィドド大統領が55.50%、85,607,362票を獲得し、対立候補のプラボウォ・スビアント氏(67)の44.50%、68,650,239票を抑え、11%の差をつけて勝利した。ジョコ・ウィドド大統領は全国34州のうち21州で多数を獲得し、プラボウォ氏は13州に留まった。

これにより、ジョコ・ウィドド大統領がマアルフ・アミン副大統領とともに今後5年間のインドネシア政治を率いることになり、10月に行われる就任式に向けて内閣改造や国会議席配分の確定、国会議長選出などを進めて第二期ジョコ・ウィドド政治が本格的にスタートする。

今後5年間はこれまでジョコ・ウィドド大統領が行ってきたインフラ整備や教育、医療保険、地方開発、低所得者対策などの各政策の継続に加えて、新たな課題として首都移転構想や2032年の夏季オリンピック招致に取り組み、宗教や民族、性的少数者など社会的弱者にも配慮した国是「多様性の中の統一」と「寛容」を実現していくことが求められることになる。

対立候補は選挙結果を認めず

一方、前回2014年の大統領選挙に続いて一敗地にまみれたプラボウォ氏は、4月17日の投票前からジョコ・ウィドド大統領の優勢を伝える世論調査などを「信用するな」と支持者らに呼びかけ、投票直後から伝えられた複数の民間機関による開票速報値でも劣勢が伝えられたことから「自陣営の集計では過半数を超えており勝利している」と一方的に勝利宣言して、「プラボウォ新内閣の閣僚名簿」まで発表する迷走ぶりをみせていた。

今回の選管による正式集計結果に関しても発表前から「我々は選管の結果を受け入れない」との立場を示しており、今後どう対応していくのかが最大の焦点となっている。

プラボウォ氏自身は「暴力行為や破壊行為を慎むように」と支持者らに呼びかけているが、その一方で陣営からは「どちらかの支持者という訳でなく、不正選挙を追及する国民運動である」として「ピープルパワー」の結集が計画されている。

その主導者には1998年当時の民主化運動のシンボル的存在として学生の人気が高かった国民信託党の創設者アミン・ライス氏が加わっており、ジョコ・ウィドド大統領との対決姿勢を鮮明にしている。

選挙結果が最終的に確定した後、不服がある場合は3日以内に憲法裁判所に訴えることができる。前回2014年の選挙ではプラボウォ氏は不服を申し立てたものの却下された経緯がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イランに先制攻撃と発表 米軍もと米紙報

ワールド

トランプ氏、アンソロピック技術の使用停止指示 「サ

ワールド

アングル:5年目迎えたウクライナ戦争、戦車が消えド

ビジネス

パラマウント、WBD買収へ 第3四半期完了の見通し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「内側」から食い尽くす...カナダの大学が発表
  • 4
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 5
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 6
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKI…
  • 7
    トランプがイランを攻撃する日
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中