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中国激怒:Huawei宛小包をアメリカへ誤送?

2019年5月30日(木)12時34分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

5.CCTV新聞

「FedExが華為貨物誤送を謝罪:少量の華為貨物が誤配送されただけだ」(2019-05-28 18:30)

6.新浪軍事(環球時報から転載)

「FedExは本当に、ただ単に華為小包を誤送しただけなのか?」(2019-05-28 18:54)

漢字を拾い読みして頂ければ(中にはPDFなど英語の文章も貼り付けてあるので)、大体の意味は通じるものと思うが、どの記事も激しい怒りに燃え上がっており、収まりそうにない。

重複している主張が多いので、一つ一つに関しての説明は省略する。主たる主張を列挙すると、以下のようになる。

●もし逆に、某国からアメリカのハイテク企業宛ての小包が、中国の国際輸送会社の「誤送」により、中国に送られたとしたら、アメリカ政府およびメディアは、どのように反応するか。アメリカ社会はどのように動くか、考えてみるといい。

●なぜ、ここまで華為だけに誤送が集中しているのか、米国は説明する義務がある。

●アメリカ商務部はロイターの質問に黙秘を続けているが、きちんと説明しろ!

●ウォールストリート・ジャーナルは5月27日、「華為勃興の過程で窃盗と不正当な競争を伴った」という長文の報道をしたが、一つたりとも証拠を出しておらず、「中国のことだから、こうあるに違いない」という既成の観念から一歩も出ていない。証拠を出せ!

●アメリカのメディアは、客観的事実に基づいて報道するという原則も忘れたのか?

●アメリカ国家安全保障局(NSA)が運営する極秘の通信監視プログラム(盗聴プログラム)でアメリカが盗聴をしていたことはスノーデンが暴露し、証拠が出そろっている。この「プリズム事件」を忘れたのか?情報安全を脅かしているのは、どの国なのか?

●上記の報道以外で、「これは国際輸送安全を脅かすテロ事件だ」という書き込みも見られた。

反米運動が火蓋を切るか

もし米当局が背後にいたのだとすれば、火に油を注ぐようなものだ。着火点を超えて、全中国が反米運動へと燃え上がる気運を刺激しかねない。そうでなくとも習近平国家主席は反米運動にゴーサインを出す段階に差し掛かっていた。中国は既に、レアメタルの対米輸出禁止を断行したら、アメリカの軍事産業がどれだけの打撃を受けるかをシミュレーションしている。

Huaweiの任正非CEOは「中国のメディアは、アメリカを批難しないでほしい」と、5月21日のインタビューで語っているが(参照:5月22日付けコラム「Huawei一色に染まった中国メディアーー創設者が語った本音」)、事ここに至ってもなお、同じことを言い続けるだろうか。

習近平の指示がなくとも、中国の反米運動は、もはやボトムアップで火蓋を切る勢いだ。これに関しては、追って考察する。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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