最新記事

中国

中国激怒:Huawei宛小包をアメリカへ誤送?

2019年5月30日(木)12時34分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

Huaweiのロゴ Soe Zeya Tun-REUTERS

米宅配大手FedExが日本から発送した中国Huawei宛の小包を米国に「誤送」し、ベトナム発アジア地域同社宛小包も米国に送ろうとした。これに対し中国は国際輸送安全を脅かす暴挙として激しく抗議し、ネットが炎上している。

この時期に「誤送」があり得るのか?

米国際宅配大手のFedEx(フェデックス)が、日本から中国のHuawei本社に送った荷物二つを、Huaweiに無断で米国に送ったほか、ベトナムからアジア地域(香港とシンガポール)のHuawei支社に送られた小包二つを米国に迂回させるべく差しとめていたことが判明した。そこには「この荷物には疑義あり」というレッテルが貼ってあったとのこと。

5月24日にHuaweiの広報担当がロイター社に明かしたことにより国際社会全体の知るところとなった。

最初、Huaweiの自作自演だろうという噂までが流れたが、5月28日にFedExが「誤送」を認め謝罪した。しかしアメリカ政府など、第三者の指示を受けて意図的に誤配送をしたわけではないとFedExは弁明している。

5月15日にはトランプ大統領が、米国の安全保障にとってリスクのある外国企業の通信機器を、米企業が使うことを禁止する大統領令に署名したばかりだ。通信機器製造のための半導体などの必要部品の輸出やサービスも禁止している。トランプ大統領は特定の企業を名指しはしていないが、世界の誰もがHuawei(華為技術)を念頭に置いたものと見ている。

特に中国ではそれ以降、中国政府とHuaweiの一体化が顕著に進み始めていた(参照:5月22日付けコラム「Huawei一色に染まった中国メディア――創設者が語った本音」)。そのような状況の中で起きた事件だけに、中国メディアの対米抗議は尋常ではない。米政府の指図なしで、このようなことが起きるはずがないだろうと、中国大陸のネットは怒りで炎上した。

噴出する中国メディアの対米抗議

本原稿を書いている時点で、できるだけ時間的に近い順番から主たるものを拾ってみるが、あまりに多いので順不同になることもある。

1.中国青年網

「華為の小包を遮断し米国に送ったFedExは、どのような責任を取れるのか?」(2019-05-29 13:45)。

2.環球網

「 FedExの華為小包"誤送"、外交部:華為と中国の民衆に合理的な釈明を」(2019-05-29 15:27)

3.共青団中央

「恐るべし!FedExが"華為小包を拉致"、中国の学者:暫時業務停止命令を」(2019-05-29 09:18)

4.人民日報・海外版(環球時報の報道を転載)

「FedExが華為の小包を誤送 ただ単に仕事の手落ちか?」(2019-05-29 06:40)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ和平で前進、合意に期限はないとトランプ氏

ビジネス

ステランティス会長、欧州自動車産業の「衰退リスク」

ワールド

米メディケア、15品目の薬価交渉で36%削減 27

ビジネス

豪CPI、10月は前年比+3.8%に加速 緩和サイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中