最新記事

米韓関係

米国警備艦が北朝鮮の「瀬取り」監視で異例の韓国入り 韓国への警告の意図も?

2019年4月2日(火)15時30分
内村コースケ

「友好」と「信頼」の確認よりも「警告」と「牽制」の首脳会談か

とはいえ、韓国は少なくとも表向きはアメリカ側の陣営であり、「仲間割れ」をはっきりと露呈するのは北朝鮮を喜ばせるだけだ。ちなみに、米沿岸警備艦が韓国入りしたのは、2007年以来12年ぶりだという。今回、アメリカが海軍の駆逐艦ではなく、沿岸警備隊の警備艦という異例かつ微妙なコマを用いたのは、アメリカの韓国に対する「信頼できない仲間」という微妙な見方を反映したものかもしれない。軍艦の派遣では角が立つが、目に見えるな形でしっかり釘を刺しておきたいというトランプ政権の意思が見え隠れしないだろうか。

「バーソルフ」は、韓国入りの直前には、米海軍の駆逐艦「カーティス・ウィルバー」と共に、最近は月例となっている台湾海峡での「航行の自由作戦」にも参加している。海軍に比べて本国沿岸を離れることが少ない沿岸警備隊の艦としては、最前線での活動が長期化している。「バーソルフ」は、まさに一部の米識者が「既に始まっている」という「新冷戦」のつば競り合いにふさわしい、トランプ大統領の秘蔵戦力と言えるかもしれない。

ホワイトハウスは、米韓首脳会談の実施を発表する声明で、「米韓同盟は引き続き、朝鮮半島と地域の平和と安全の根幹となる」と指摘した(ロイター)。米朝首脳会談が不調に終わった後のこの時期に行なわれる会談で、その引き締めを図るのは当然だ。しかし、それはもはや「友好」と「信頼」の再確認と言うよりは、文大統領の独断専行に対する「警告」とその親北政策への「牽制」のレベルに達しているように見える。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 7
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中