最新記事

日本社会

平成から令和へ 3世代が語る日本の歩み「過去と未来」

2019年4月30日(火)10時00分

バブル崩壊

52歳の齋藤賢治さんにとって、平成は劇的な変化と解放、そして新たなチャンスとの出会いだった。

1997年11月、当時システムエンジニアだった齋藤さんは、夜勤明けに出向先の会社で親戚から電話を受けた。「お前の会社、山一証券じゃなかったか」。

テレビをつけると、山一証券が自主廃業を決めたとのニュースが流れていた。「自主廃業って何なのか、意味さえわからなかった」と振り返る。

当時の野澤正平社長が記者会見で「社員は悪くありませんから。悪いのはわれわれです」と号泣しながら社員の再就職先を懇願した映像は、バブル経済崩壊の象徴的なシーンとして、何度も流された。

「山一がつぶれるなんて、だれも思わなかった。まさか、こんな大きな会社がいきなり」と齋藤さんはロイターに語った。

山一破たん後、前の上司の誘いでシステム会社に転職したが、2005年にサラリーマン生活を辞めて、好きなことを仕事にしようと、ラーメン店「ど・みそ」を開業。現在は、支店を10店舗経営するまでに成長した。

バブル崩壊後の「失われた10年」とも言われた景気停滞期は、多くの人にとって暗いイメージだが、齋藤さんは解放されたと感じたという。

「上に言われたことをやるのではなく、自分で考えてできるから、今はストレスがない」。平成という時代に転機が与えられたことは自分にとって良かった、と語った。

将来への不安

大規模な自然災害、技術の進化、そして先行きに対する不安──。これらが早稲田大学の学生・原田百合さん(19)にとっての平成だ。

2011年3月、東日本大震災が起きた時は11歳だった。学校から3時間かけて歩いて帰ったという。「衝撃だった。世の中の出来事で自分の生活がこんなに変わるんだと。学校は打ち切りになり、卒業式も延期になった」と振り返る。

小学生時代、携帯電話はガラケーを使っていて、スマートフォンが欲しかったが「信じられないくらい高いから、買えないと母に言われた」。中学生になり、スマホが安くなったので買ってもらった。「ほんとに技術的な進歩はすごい。それが平成の特徴かな、という感じがする」と原田さんは言う。

日本は今、歴史的な労働力不足に直面しているが、彼女は先行きはどうなるかわからないと不安を感じている。「ちょっと前の世代は、就職氷河期と言われていた。売り手市場がずっと続いてくれたらいいけど、不安に思っている人はたくさんいる」

長期的には、社会が不安定化することが心配だという。4月に日本政府は新たな外国人労働者の受け入れ制度を導入した。しかし、欧州や米国で反移民の声が大きくなっていることが心配で「日本もちゃんとそこを考えてやっていかないと、将来同じようになるのではないかと怖い」と原田さんは話す。

元号が令和に変わり、新たに始まる新時代の見通しについては、「明るく見たいけれど、見れないというのが正直なところ」と語った。

(Linda Sieg, Kwiyeon Ha,宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 健康長寿の筋トレ入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月2日号(8月26日発売)は「健康長寿の筋トレ入門」特集。なかやまきんに君直伝レッスン/1日5分のエキセントリック運動

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送-「安全の保証」巡り首脳レベルの協議望む=ウク

ビジネス

訂正米PCE価格、7月前年比+2.6% コアは5カ

ワールド

トランプ氏のFRB理事解任巡る審理開始、裁判所判断

ワールド

プーチン氏、トランプ氏欺くことに 露ウ会談約束しな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界がうらやむ国」ノルウェーがハマった落とし穴
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 9
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 10
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中