最新記事

音楽

四川省出身のチャイナラッパーが世界に大躍進

From Chengdu With Flow

2019年3月19日(火)18時00分
クリスティーナ・チャオ

映画やファッションデザインの分野では、世界で活躍する中国人が珍しくなくなった。しかしヒップホップアーティストの活動は、国内の厳しい検閲に妨げられてきた。

中国のミュージシャンは、政府ににらまれることを避けつつ、本音の作品を送り出して商業的に成功するという、難しい課題を突き付けられる。PG OneやGAIなど、中国の有名なヒップホップアーティストには、歌詞が共産党の価値観に反するという理由で厳しい批判を浴びたり、放送禁止にされたケースもある。

magc190319-china02.jpg

セカンドアルバムの『ファイブ・スターズ』 88rising

その点、ハイヤー・ブラザーズは違う。ソロで活動していた頃のメロが当局との間で小さないざこざを経験したのを別にすれば、警察とトラブルになったことはないと、4人は本誌に語る。過激な歌詞や、お上品とは言い難い服装を考えると、驚くべきことだ。

国外のファンや批評家の中には、歌詞が意図せずに共産党のプロパガンダになっていることが成功の要因ではないかと考える人もいる。

この仮説を裏付ける具体的な根拠はほとんどないが、歌詞が外国人のファンを逃がさないようにしながらも、さりげなく中国人のナショナリズムに訴えていると指摘する人は少なくない。もっとも、共産党がハイヤー・ブラザーズの躍進を容認している本当の理由が明らかになることはないだろう。

いずれにせよ、ハイヤー・ブラザーズがアメリカでの活動をさらに広げようと思えば、メディアから中国の検閲について質問を浴びせられることは覚悟しなくてはならない。

一方、好ましい材料もある。いまアメリカのヒップホップ界は、新鮮なサウンドと外国のミュージシャンを受け入れる傾向がこれまでになく強まっている。

メンバーもそれに意を強くしているようだ。「アメリカにはあらゆる人種と国籍のパフォーマーがいる」と、メロは本誌に語った。「それぞれが自分なりのエネルギーと感性でライブに臨んでいる」

<本誌2019年03月19日号掲載>

※3月19日号(3月12日発売)は「ニューロフィードバック革命:脳を変える」特集。電気刺激を加えることで鬱(うつ)やADHDを治し、運動・学習能力を高める――。そんな「脳の訓練法」が実は存在する。暴力衝動の抑制や摂食障害の治療などにつながりそうな、最新のニューロ研究も紹介。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ダボスでビジネス界首脳らと21日会談

ワールド

トランプ氏、ノーベル賞逃し軌道修正 「もう平和だけ

ワールド

イラン、インターネット遮断解除検討か 国営TVハッ

ワールド

米の脅迫に屈さず、仏独財務相 反威圧措置も選択肢に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 2
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生…
  • 5
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 6
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 9
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 10
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 7
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中