最新記事

フランス

仏イエローベスト運動も侵食し始めた反ユダヤ主義

90 Jewish Tombs Vandalized With Swastikas in France

2019年2月20日(水)19時00分
ジェーソン・レモン

ナチスのカギ十字で汚されたユダヤ人の墓(2019年2月19日、仏ストラスブール近郊) Vincent Kessler-REUTERS

<ユダヤ人墓地の墓石やホロコースト・サバイバーの肖像をカギ十字で汚すなどの攻撃が毎日のように続くフランス。反ユダヤ主義が全土に「毒のように」広がっている>

フランスで相次ぐ反ユダヤ主義的な行為に抗議するデモが行われ、数千人が参加した。デモの数時間前にもユダヤ人墓地で90基を超える墓石にナチス・ドイツを象徴するカギ十字が落書されるという事件が起きていた。こうした行為を非難し、国内のユダヤ人コミュニティを支援しようという気運が高まっている。

被害にあったフランス東部の墓地を2月19日に訪問したエマニュエル・マクロン大統領は「こんなことをした連中はフランス共和国にふさわしくない。罰を受けるだろう」と語り、さらに「私たちは行動を起こし、法律を適用し、犯人を処罰する」と約束した。

ガーディアン紙によれば、エドゥアール・フィリップ首相をはじめ閣僚や政治家も抗議デモに参加、反ユダヤ主義がフランス全土に「毒のように広がっている」と警告した。マクロンはフランスのホロコースト記念館を訪問し、黙とうを捧げることになっている。フランスに住むユダヤ人の数は、イスラエルとアメリカに続いて、世界で3番目に多い。

イエローベスト運動も関係か

フランスではここ2週間というものほぼ毎日、反ユダヤ主義的な攻撃が行われている。2月15日、パリのシナゴーグでエアガンを発射した十代の少年2人が逮捕された。今月初めには、郵便ポストに描かれたホロコーストの生還者で厚生相を務めた故シモーヌ・ベイユ元厚生相の肖像が、カギ十字の落書きでよごされた。パリのベーグルショップではドイツ語のユダヤ人を意味する蔑称の落書きが見つかった。

フランスのメディアの中には、マクロン政権の燃料税引き上げを発端に広がった「イエローベスト」運動を非難する声もある。運動の参加者のなかには、反ユダヤ的なシンボルやイメージを掲げる小グループや個人がいるからだ。運動全体が反ユダヤ主義ではないことを指摘する専門家もいるが、中心的な存在がいないため、一部の反ユダヤ集団や個人が混じっていても排除はできない。

「イエローベストは反ユダヤ主義の運動ではない」と、フランス国際関係戦略研究所(IRIS)の上級研究員ジャン・イブ・カミュはフランス通信社に語った。「だがリーダーのいない水平方向の運動だ。そして極端な主張をする参加者が、メディアで目立ち、著名な主力メンバーの声をかき消してしまっている」

MAGAZINE

特集:とっておきの世界旅50選

2019-7・16号(7/ 9発売)

イタリアの秘めた名所から沈船ダイビング、ゾウ保護区まで、ひと味違う体験を楽しみたい人向けの旅行先50

※次号は7/17(水)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    女性、独身、子なしを責められた台湾総統、FBで反撃

  • 2

    韓国・文在寅大統領「対北朝鮮制裁違反という日本の指摘は重大な挑戦」

  • 3

    歴史問題に根ざす日本と韓国「半導体輸出規制」対立の行方

  • 4

    なぜ米国の一流経済学者が日本に二流のアドバイスを…

  • 5

    2019年上半期グーグル人気検索キーワード発表 韓国…

  • 6

    家庭料理に求めるレベルが高すぎて、夫の家事分担が…

  • 7

    「貧困の壁を越えたイノベーション」湯浅誠がこども…

  • 8

    異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開

  • 9

    同性愛を公言、ヌードも披露 女子サッカー米代表の…

  • 10

    日本の重要性を見失った韓国

  • 1

    日本の重要性を見失った韓国

  • 2

    輸出規制、韓国政府の無策を非難する韓国メディア

  • 3

    同性愛を公言、ヌードも披露 女子サッカー米代表のミーガン・ラピノー

  • 4

    国歌斉唱で胸に手を当てる、なでしこジャパンに違和感

  • 5

    異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開

  • 6

    トランプ亜流にも劣る、韓国への素材輸出規制

  • 7

    輸出規制への「期待」に垣間見る日韓関係の「現住所」

  • 8

    なぜ米国の一流経済学者が日本に二流のアドバイスを…

  • 9

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

  • 10

    4万年前の線虫も......氷河や永久凍土に埋もれてい…

  • 1

    世界最大級のネコ、体重320キロのアポロを見て単純に喜んではいけない

  • 2

    自撮りヌードでイランを挑発するキム・カーダシアン

  • 3

    若年層の頭蓋骨にツノ状の隆起ができていた......その理由は?

  • 4

    異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開

  • 5

    日本の重要性を見失った韓国

  • 6

    マイナス40度でミニスカ女子大生の脚はこうなった

  • 7

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 8

    テスラの半自動運転システムで居眠りしたまま高速を5…

  • 9

    地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

  • 10

    輸出規制、韓国政府の無策を非難する韓国メディア

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク日本版編集部員ほか求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月