欧州各国、ベネズエラ暫定大統領を承認 中南米諸国も支持で強まるマドゥロ包囲網
欧州10カ国はベネズエラの「暫定大統領」就任を宣言した野党指導者、フアン・グアイド国会議長(写真中央)を暫定大統領として承認した。カラカスで2日撮影(2019年 ロイター/ANDRES MARTINEZ CASARES)
欧州主要国は4日、ベネズエラの野党指導者フアン・グアイド国会議長を同国の「暫定大統領」として承認した。
欧州連合(EU)がマドゥロ政権に選挙のやり直しを求めていた8日間の期限が切れたことに伴う措置で、米政府の方針に足並みをそろえることになる。
中南米の周辺国やカナダで構成するグループもグアイド暫定大統領への支持を再表明した。
ただ、ベネズエラに巨額の投資や借款を行っているロシアや中国はこうした動きを内政干渉と批判し、マドゥロ大統領への支持を表明しており、ベネズエラを巡る情勢は混迷を極めている。
欧州議会は1月31日に行った採決でグアイド氏を暫定大統領として承認。EUは声明草案で、EUとしてグアイド氏を暫定大統領として「認識」するが、正式に承認するかどうかは加盟各国が決めるとの立場を示していた。
ベネズエラでは、マドゥロ大統領が強権的な手法で再選を果たし大統領に就任。これに反発し、野党指導者のグアイド国会議長が暫定大統領就任を宣言するという異常な事態に陥っている。トランプ米大統領は直ちにグアイド暫定大統領を承認したが、EU諸国はグアイド氏に対する支持を表明するにあたり、米国より慎重な姿勢を示していた。
グアイド暫定大統領を承認したのはスペイン、オーストリア、英国、チェコ、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、ポーランド、ポルトガル、スウェーデン、クロアチア、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダなど。
スペインのサンチェス首相は声明で「グアイド国会議長を暫定大統領に認定する」と表明し、可能な限り早期の自由で公正な選挙を求めた。また「きょうから、ベネズエラ国民が自由と繁栄、調和を成し遂げるための支援を惜しまない」と言明した。
英国のハント外相は、「マドゥロ氏はわれわれが設定した8日間の期限内に大統領選挙実施を表明しなかった。したがって英国は他の欧州諸国と同調し、信頼できる選挙が実施されるまで、グアイド国会議長を暫定大統領として認定する」とツイッターに投稿した。
フランスのルドリアン外相は国内ラジオに対し、グアイド氏が大統領選挙を実施する「資格と正当性」を有すると指摘。今後、ベネズエラ情勢について欧州諸国と協議する方針を示し、同国での対立が平和的に解消し、内戦を回避しなければならないと述べた。