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米中関係「四十にして惑う」

2019年1月2日(水)21時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

これら5つの派閥が互いに牽制し合ったり協力したりしているが、トランプは全体を掌握できておらず、その時々の自分の政治的なニーズによって取捨選択したりしている。しかし結果的にはホワイトハウスの混乱を招いている。

力を付けた中国が気に入らないアメリカ

評論は続ける。中国が力を付けてきたので、常に世界の老大(ラオダー、トップ)でいたいアメリカは気が気じゃない。中国がアメリカに追いつき追い越して、世界のナンバー1になるのを、何としても防ぎたい。中米関係は「協力と競争の共存」モデルから、「競争主導型」モデルへと転換しつつある。長年、米中両国は経済交流と人文交流を基礎に置いてきたが、今はそれが崩れ2010年以来、最も悪化している。

2018年12月初旬に米中間では90日間の休戦合意が成されたが、これはあくまでも貿易面であって、科学技術方面では、アメリカは絶対に譲らないだろうし、中国も譲らない。

2019年は厳しい1年に

したがって2019年は厳しい状況が続くだろう、と評論は締めくくっている。中米対立は常態化し摩擦に対する双方のコントロールは緊迫してくる。

とは言え、そう悲観することもない。なぜなら中米両国は、互いに離れられない関係にあるからだ。もちろん今は、共和党も民主党も同様に対中強硬で一致しているが、しかしそこには明らかに「トランプの烙印」があり、長期的にはアメリカ国内の政治経済状況の変化が、必ず対中政策に変化をもたらすしかないところに追いやられる。

これからの40年間を考えると、力関係が変わってくるので、新しい協力モデルと競争への新しい規則が生まれてくるだろう(以上が、評論の概略)。

トランプと習近平の新年祝賀交換

米中国交正常化40周年を記念して、トランプ大統領と習近平国家主席が今年1月1日、祝賀メッセージを交換したと、新華社が伝えた

それによれば。習近平は「協力こそが双方にとって最善の選択であり、40年間の中米両国の発展の経験を活かし、協調、協力、安定を基礎とした両国関係をともに進めたい」と述べ、トランプは「協力を進め、建設的な米中関係を築くことは私の優先事項だ。われわれ(二人)の力強い友情は、今後数年にわたる偉大なる成果を得る上で、すばらしい基礎を築きあげた」と述べたとのこと。

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