最新記事

中国

米中関係「四十にして惑う」

2019年1月2日(水)21時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

トランプ大統領と習近平国家主席 Jonathan Ernst-REUTERS

四十にして惑わずと言うが、今年1月1日に国交正常化40周年を迎えた米中関係は「四十にして惑っている」と中国共産党系の環球時報が伝えた。中国は今のアメリカをどう見ているのか、そして今年はどうなるのかを考察する。

環球時報評論――「四十にして惑う」米中関係

昨年末の12月28日、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」が「"四十にして惑う"中米関係はどこに行くのか」という評論を掲載した。孔子曰く「四十にして惑わず」から始まるその評論には、米中関係には「一つの中心」と「三つの基本点」があるとして、概ね以下のようなことが書いてある。

1.一つの中心:全面的に展開し始めたアメリカの対中競争。

●政治的にはアメリカは、アメリカ主導の国際秩序に中国が挑戦しようとしていることを阻止し、中国がアメリカ社会に"浸透"しようとしているのを阻止しようとしている。

●経済的にはアメリカは、貿易不均衡問題と中国の市場開放の問題を解決しようとしており、また、中国が科学技術領域で著しい進歩を遂げようとしているのを阻止しようとしている。さらに、中国の産業政策を変えさせようとさえしている。

●安全保障上アメリカは、中国の軍事力が高まっていることに対応しようとしており、また中国の地政学的な戦略を抑制しようと試みている。

2.三つの基本点:アメリカは「断絶、規制、圧力」という三つの基本点を用いて中国に以下のことをしようとしている(「米中」は原文通り「中米」に)。

(1) 断絶 

●アメリカの優勢なハイテクが中国に流れることを阻止するために、以下の措置をアメリカが中国に対してとっている。

・技術面で中米断絶を推進する。

・中国の対外投資政策を変えさせる。

・中国の対米投資を制限する。

・中国の留学生や学者がアメリカでデリケートな技術方面の専門を学ぶのを禁止し、アメリカで科学技術の研究活動に従事するのを禁止する。

●アメリカの国防関連業の対中依存がもたらすリスクを軽減するために以下のことを実施する。

・中米産業チェーンの連鎖から脱却する。

・アメリカの国防関係請負業者(軍事産業関係者)は中国大陸にある生産基地を他に移転させる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

インド中銀総裁「低金利は長期間続く」=FT

ビジネス

シャドーバンキング、世界金融資産の51% 従来型の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中