最新記事

ブレグジット

英議会、合意なきEU離脱阻止に向け動き活発化 問題を議会管轄にする案が浮上

2019年1月24日(木)10時35分

1月23日、英国が条件などで合意しないまま欧州連合(EU)を離脱する事態を避けるために野党労働党の議員が提出した修正合意案について、同党の有力議員は、党として支持する構えを示した。写真はメディアに応える保守党のジェイコブ・リースモグ議員。ロンドンで撮影(2019年 ロイター/Toby Melville)

英国が条件などで合意しないまま欧州連合(EU)を離脱する事態を避けるために野党労働党の議員が提出した修正合意案について、同党の有力議員は23日、党として支持する構えを示した。与党保守党の一部議員は既に支持を表明しており、可決を目指す動きが活発化した。

修正案は労働党のクーパー議員が提出したもので、従来のルールを覆し、本来は政府に優先処理権限があるブレグジット(EU離脱)問題を議会の管轄にするという内容。

メイ内閣が2月26日までに議会で離脱案の承認を得られない場合、議会にはEUに離脱延長を要請するかどうかを決める権限が与えられるとしている。

労働党のナンバー2であるジョン・マクドネル議員は英BBCに対し、同修正案は妥当で、労働党が支持する「可能性が高い」と発言。保守党からは少なくとも9人が公式に支持を表明しており、可決される可能性がある。

ポンドは対ドルで10週間ぶりの高値である1.3079ドルに上昇。議会が離脱プロセスにおける権限を拡大できれば、「合意なき」離脱は回避されるとの見方を反映した。

一方、EU側の交渉を担うバルニエ首席交渉官は23日、合意なき離脱が既定路線となっているとの認識を示した。

バルニエ氏は「合意なき離脱が回避されることを今も望んでいるが、現在は合意なき離脱に備えることがこれまでになく重要になっている」と述べた。

英国にとってもう1つの選択肢は、メイ首相がEUからさらなる譲歩を引き出し、保守党内の抵抗勢力や閣外協力する北アイルランドの地域政党を翻意させることだ。

英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境の厳しい管理を阻止するためのバックストップ(安全策)についてEUから譲歩を引き出せれば、これが可能になるとの指摘が一部にある。

保守党のジェイコブ・リースモグ議員は「受け入れ可能な修正合意案を期待できるのは良いニュースだが、まだそのような案がないため、それが出てくるまでは私のような議員は反対票を投じる」と述べた。

議会は29日にメイ首相の代替案と他の議員が提出した修正案を採決する見通しで、事態の打開に道を開く可能性がある。

[ロンドン 23日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 3
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 4
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中