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2019年はどんな年?金融市場のテーマと展望

2018年12月21日(金)16時00分
上野 剛志(ニッセイ基礎研究所)

(2019年はどんな年?)
それでは、来年2019年は金融市場にとってどのような年になるのだろうか?来年のスケジュールを確認しつつ(表紙図表参照)、内外の注目材料を点検してみる。

(1)海外材料

1) 米国:景気、利上げ、貿易摩擦の行方

まず、米国に関しては景気の行方が注目される。最近の米債券市場では、一部の期間が長めの金利が、短めの金利よりも低くなる逆転現象が発生した。米国では、過去、長短金利の逆転後に景気後退が起きてきたことから、市場では来年の米景気後退への懸念がにわかに高まっている。確かに、来年前半までは減税効果や歳出拡大の効果が続くことで潜在成長率を超える堅調な成長が続くものの、後半になると効果が剥落し、減速する可能性が高い。米議会がねじれになったため、追加の財政政策は期待しづらい。問題は、それが景気減速で留まるのか、それとも景気後退にまで至るのかという点だ。この段階で米国経済の真の実力が試されることになる。これまで「1強」と看做されていた米国経済が失速すれば、世界経済が総崩れになりかねない。

また、景気の行方はFRBの利上げ方針にも大きく影響する。11月以降、FRB正副議長による「政策金利は中立金利に近づいている」との発言によって、利上げの鈍化・早期打ち止め観測が台頭したうえ、最近では米景気減速観測が強まったことで、市場の利上げ観測は大きく後退している。9月FOMC時のFRBメンバーの中心値では、2019年3回、2020年1回の利上げが示されていたが、足元でFF金利先物が織り込む利上げ回数は、2019年の1回に留まり、2020年以降はわずかながら利下げが織り込まれている。

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さらにこれとも絡むが、米政権発の貿易摩擦の行方も引き続き注目点となる。今月始めの米中首脳会談の結果、米国による対中国関税引き上げは90日間猶予されたが、両国の意見の隔たりは大きく、覇権の絡む話なだけに米中貿易摩擦の終結は見通せない。さらに、来年1月からは米国と日本・EUの間でも通商交渉がスタートする予定となっており、厳しい交渉が予想される。(米国の)輸入自動車に対する追加関税の発動も可能性は排除できない。

今後も貿易摩擦がますます激化していけば、報復関税や物価上昇を通じて米経済にとっての強い逆風になる。

2) 中国:景気減速の度合い、貿易摩擦の影響

中国経済の行方も来年の市場にとって重要な材料となるだろう。中国の成長率は減速傾向にある。もともと生産年齢人口の減少や過剰債務・過剰設備といった構造問題を抱え、経済の下押し圧力になっていたところに、米中貿易摩擦の悪影響が加わる形になっている。

景気減速圧力を受けて、中国政府は景気刺激策を相次いで打ち出しているが、減速の方向性は変わらないだろう。問題はその減速の度合いだ。もし、成長率が前年比6%を割り込むような自体となれば、市場への影響も大きくなる。

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中国の景気を考えるうえでは、米中貿易摩擦の影響を抑えられるかという点が注目される。米政権との交渉の行方や追加の景気下支え策の発動などがポイントになる。

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