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経済予測

2019年はどんな年?金融市場のテーマと展望

2018年12月21日(金)16時00分
上野 剛志(ニッセイ基礎研究所)

3) 欧州ほか:政治リスク、ECB利上げ、地政学リスク

欧州の注目材料は政治リスクだ。英国のEU離脱問題は来年3月の離脱を控えて佳境に入っている。メイ首相が議会を説得し、秩序立った離脱を実現するのか?それとも時間切れで無秩序な離脱に突入するのか?離脱時期を延期にして合意を目指すのか?色々な可能性があるが、無秩序な離脱の場合は世界の市場に大きな悪影響を及ぼすことになる。

また、イタリアの財政赤字問題もEUとの合意が見通せない状況が続いており、今後歩み寄りがみられるかが注目される。

さらに、これまでEUを牽引してきたドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領は求心力に陰りが見えており、立て直せるかが注目される。

金融政策では、ECBは来年夏までの政策金利据え置き方針を示す一方、景気・物価の持ち直しシナリオを維持しているため、市場では秋以降の利上げ(マイナス金利縮小)を見込む向きが強い。もし、景気や政治情勢によって利上げを見送る辞退となれば、ユーロ安を通じて日本株の逆風になりかねない。

欧州以外では、中東や北朝鮮を巡る地政学リスクが注目材料だ。イランの核・ミサイルを巡る米国との対立、記者殺害事件に伴うサウジアラビアの苦境、長引くイエメン、シリアでの紛争などにより、中東の不安定感は強まっている。

また、北朝鮮の核問題も米国との間の交渉が進んでおらず、米政権と北朝鮮首脳との我慢比べの様相を呈している。これらの問題が今後いきなり緊迫化して市場のリスクオフに繋がる可能性も排除はできない。

(2)国内材料

1) 景気(消費税引き上げの影響)

国内の材料としては、まず景気の行方が注目される。来年は10月に消費税率引き上げが予定されているため、引き上げ後は一旦マイナス成長に陥るとの見方が一般的だ。想定以上に景気が落ち込めば、企業業績悪化を通じて株安要因となる。一方で、政府は矢継ぎ早に増税対策(キャッシュレス決済に対するポイント付与、プレミアム商品券発行、自動車・住宅購入への減税措置など)を打ち出しており、どこまで悪影響が緩和されるのかが注目される。

2) 参議院選
政治では、来年7月に予定されている参議院選が注目される。現在、自民・公明の与党が議席の過半数を占めているが、維持できるかが焦点となる。与党は2013年の参議院選で大勝し、議席を伸ばした関係で、今回改選される議席数が多い。従って、ハードルが高めの選挙となりそうだ。

もし、与党が大敗することがあれば、安倍政権の求心力や政策の実行力の低下が懸念され、市場の悪材料(円高・株安材料)となる可能性が高い。

ちなみに、日銀の金融政策は市場の大きな材料にはならないだろう。日銀は7月に金融政策の調整(金利の柔軟化など)に踏み切ったが、同時に導入されたフォワードガイダンス(P7注記参照)の内容を踏まえると、消費税率引き上げの影響が一巡するまでは新たな政策変更を見合わせると予想されるためだ。ただし、日銀は今後も国債買入れの減額を進めるとみられ、市場の一時的な動揺をもたらす可能性はある。

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