最新記事

ブレグジット

英メイ首相、与党の信任獲得 EU離脱案の議会承認は不透明なまま

2018年12月13日(木)09時55分

 12月12日、英国の与党・保守党はメイ首相に対する党首信任投票を行い、メイ氏は信任された。首相官邸に到着した同首相。ロンドンで撮影(2018年 ロイター/EDDIE KEOGH)

英国の与党・保守党は12日、メイ首相に対する党首信任投票を行い、メイ氏は信任された。ただ、3分の1以上の議員が不信任票を投じたことから、EU離脱を巡り英議会がこう着状態になる可能性が浮き彫りとなった。

信任投票の結果は、信任200票、不信任117票。離脱強硬以外の議員も不信任票を投じたことから、離脱案の議会承認は前途多難。13日のEU首脳会議を控え、離脱を巡る先行き不透明感は続いている。

メイ氏はEUとの離脱合意案について、11日の議会採決を目指していたが、可決の見込みがないことを認め、10日に延期を表明した。

信任投票後にメイ氏は、反対票を投じた議員の声に耳を傾けると述べ、離脱案で最も懸案事項となっているアイルランドとの厳格な国境管理を避けるための暫定的な安全策(バックストップ)について、法的保障を確保することを目指すと説明した。

保守党の多くの議員からは「バックストップ」が永久に続く可能性があるとの懸念が出ている。

メイ氏は「多くの議員が不信任票を投じた。私はそうした議員の主張を聞いた」と述べ「今度は、英国民のためにブレグジットを果たすための仕事に取り掛かる必要がある」と述べた。一方、EU側は、いったん合意した離脱案を修正するつもりはないとしている。

投票結果を受け、メイ氏の支持派は党として首相を支えるべきだと訴えた。一方、離脱強硬派は、メイ氏は辞任すべきだとの見方を示している。

強硬派を率いるジェイコブ・リースモグ議員はBBCテレビに対し「メイ首相にとってひどい結果だ」と述べ、「憲法上のあらゆる規範に鑑み、首相は早急に女王と面会し、辞任する必要があるということを理解すべきだ」と主張した。

メイ氏はこの日、信任投票実施に先立ち、2022年の次期総選挙前に辞任する考えを示した。

投票結果を受け、英ポンドは一時1.2672ドルまで上昇した。その後、不信任票が多くの市場関係者の予想より多かったことが分かると、1.2605ドルまで押し戻された。

[ロンドン 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、イランのフーシ派支援に警告 国防長官「結果引き

ビジネス

消費者態度指数、5カ月連続マイナス 基調判断「弱含

ワールド

中国、欧州議会議員への制裁解除を決定

ワールド

エルサルバドルへの誤送還問題、トランプ氏「協議して
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中