最新記事

言論の自由

国民からの批判が不快?トランプ政権がホワイトハウス周辺のデモ規制を提案

New Rules Would Restrict Free Speech Near White House

2018年10月17日(水)19時00分
ロビン・ウレビッチ(キャピタル&メイン)

また、ワシントンの一部の公園で構造物の設置を許可制にするという変更点については、「最後の規制改訂後に起こった事件」、すなわちオキュパイ(「ウォール街を占拠せよ」)運動のデモで同市内のマックファーソン広場が「参加者と市全体の安全を脅かす」テント小屋であふれかえった事例を受けての要件だという。

ACLUは規制案に対して正式なコメントを発表し、新規制の多くが憲法に違反している可能性があると、抗議している。

ACLUは、「今回の規制改正案は、国民が政府に異議を唱える権利を守るために裁判に訴えなければならなかった時代を思い起こさせる」としたうえで、一部の新規制は以前、ACLUが勝ち取った有効な裁判所命令に抵触する可能性があると指摘した。

新規制に抗議の声を上げているのはACLUだけではない。10月15日に終了した60日間の意見公募期間中、規制に関する論争に加わった団体や個人は3万8000人を超えた。

市民グループは、ホワイトハウスに面した歩道での抗議活動の制限は「ステルス条項」だと指摘する。それは規制に関する26ページの文書の最後に埋もれているからだ。規制が必要な理由については、連邦官報で公表されていない。

デモの費用を参加者に請求

スピッツァーによると、この条項は、抗議活動に対するホワイトハウスの不快感を表しているようにみえる。

「これは個人的に疑っていることだが」と、彼は言う。「トランプ政権が発足するまで、国立公園局には、新規制を作ろうとする動きなどなかったことを、私は知っている」

政府はまた、大規模な抗議イベントに関して政府が負担した費用を参加者から取り立てることについて、意見を公募している。まだ正式な案ではないとはいえ、それは「憲法上の権利を行使するための手数料を国民に課すことになる」と、ACLUは指摘した。

デモのために政府が負担した費用を回収する仕組みがあったとしたらら、マーティン・ルーサー・キング牧師による1963年の名演説「私には夢がある」は、生まれなかっただろう、とACLUは主張する。

政府は規制を施行する前に、寄せられた意見をすべて読み、検討する法的義務がある。だが「新規制案がこのままの内容で正式に決定するようなことになったら」スピッツァーは言う。「それは抗議活動の自由を求める人々のために法廷で戦えというゴーサインになるだろう」

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中