最新記事

仮想通貨

相場低迷でも仮想通貨市場に活気──主役は「仮想通貨ヘッジファンド」

Cryptocurrency Funds Undeterred by Price Slump

2018年10月11日(木)18時00分
ロバート・ダイクス(米キャスピアン投資顧問共同創業者・CEO)

リスク管理ツールも提供

機関投資家の参入を促す動きはほかにもある。昨年末、仮想通貨ファンド設立の最初の波が起きたときには、仮想通貨ファンドの立ち上げ方も管轄の役所も、そもそも仮想資産をどう扱えばいいのかも、ほとんどの人が知らなかった。今ではボーバン、ファンドプラットフォーム、オートノマス、ブルーメグなど多くの企業がファンド設立をサポートし、管轄はどこか、立ち上げ時の目標資産規模にいたるまで、至れり尽くせりのアドバイスをしている。

会計部門では、コロラド州に本社を置くブティック型金融サービス企業のMGストーバーが資金・財務管理サービスを提供。同社のマット・ストーバーCEOによると、4年前に仮想通貨中心のヘッジファンド設立を支援したのを手始めに、今では50余りのファンドを顧客に抱えているという。

仮想通貨は相場の変動が激しいばかりか、システム障害やサーバーダウンで頻繁に取引停止に陥る。機関投資家が参入に及び腰になるのも無理はないが、こうした問題に解決策を提供するサービスも生まれている。例えば私たちが設立したキャスピアンは、顧客が取引実行・リスク管理ツールを活用して、単一のインターフェイスで複数の取引所の仮想通貨を迅速に大量購入できるプラットフォームを設計、多くの機関投資家にサービスを提供している。

目先の相場にとらわれるな

機関投資家のマネーを仮想通貨市場に呼び寄せるには、彼らが伝統的な市場で享受してきた痒いところに手が届く専門的なサービスの提供が不可欠だ。

そうしたニーズに応じるベンチャーの立ち上げを支援する動きも活発化している。世界のベンチャー企業への投資額は昨年、2000年以降で最高の1640億ドルを記録したが、世界のベンチャーキャピタルがいま最も注目している分野の1つが仮想通貨関連のスタートアップだ。

仮想通貨専門ファンド設立に3億ドルを投じたアンドリーセン・ホロウィッツから、仮想通貨分野に投資するため1998億ドルを調達したライトスピード・ベンチャー・パートナーズ、間接的に仮想通貨ヘッジファンドに投資しているユニオン・スクエア、セコイア・キャピタルまで、大手VCはこの分野への投資を惜しまない。

今年設立されたクリプト系ファンドのおよそ3分の2はヘッジファンドか、主として仮想通貨に投資するトークン化投資ファンドで、残る3分の1はブロックチェーン関連のスタートアップを支援するVCファンドだ。

弱気市場のせいで先行きが暗く見える仮想通貨だが、機関投資家の参入という新しいトレンドに目を向ければ、今後に大いに期待がもてる。

(International Business Times)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、8月は5.4万人増 予想下回る

ビジネス

米の雇用主提供医療保険料、来年6─7%上昇か=マー

ワールド

ウクライナ支援の有志国会合開催、安全の保証を協議

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中