最新記事

一帯一路

汚職容認に借金漬け? アフリカ諸国への融資批判に中国が反論

2018年9月7日(金)10時15分

9月5日、北京で開かれた「中国アフリカ協力フォーラム」首脳会合の期間中に中国の元当局者や国営メディアは、中国によるアフリカ支援の正当性を声高に主張し、汚職の温床などとする批判に相次いで反論した。写真中央は、中国の習近平国家主席。同フォーラムで4日代表撮影(2018年 ロイター)

北京で開かれた「中国アフリカ協力フォーラム」首脳会合の期間中に中国の元当局者や国営メディアは、中国によるアフリカ支援の正当性を声高に主張し、汚職の温床などとする批判に相次いで反論した。

中国は以前からアフリカの原材料に関心があるだけで、無条件の融資や支援は汚職を招き、アフリカ諸国に持続不可能な債務を負わせるといった批判を、主に西側諸国から受けている。

今回の首脳会合でもアフリカの記者が、中国の当局者に汚職や環境問題、中国の支援を受けた一部プロジェクトでの現地雇用の不足などについて質問を浴びせかけた。

こうした動きに対して中国の外務省の元アフリカ局長でマリとモロッコの大使を務めたチェン・タオ氏は、汚職が指摘されている国を支援したとして中国を批判するのは不当だと反論した。

「アフリカの友人から、自分の国の政府は汚職にまみれており、中国はなぜ支援するのかと言われた。自分の国の政府は中国に橋や病院の建設を求めているが、中国政府は応じるべきではないというのが、彼の意見だった」という。「この友人には『選挙でその政府を選んだのはあなた方だ』と話した。中国政府が交渉できるのはこの政府だけだが、橋や病院を造るのは大統領や高官のためではなく、一般国民のためだ。この問題を考えるときにはこうした視点も持つことができる」と述べた。

トランスペアレンシー・インターナショナルが発表した昨年の汚職指数で最低の評価を受けた10カ国のうち、赤道ギアナ、ソマリア、スーダン、南スーダンのアフリカ4カ国が今回の首脳会合に参加した。

中国の習近平氏は6年前に国家主席に就いて以来、国内で汚職の取り締まりを強化しており、政府は中国と関係のある諸外国についても汚職の取り締まりを進めるよう求めている。

アフリカ事務特別代表を務めた劉貴今氏は、中国は汚職による資金の無駄遣いを望んでいないと述べた。「中国の対アフリカ支援はその国の国民を主な対象としており、腐敗した政府や当局者に資金は流れていない」という。

5日に発表された首脳宣言は、中国とアフリカ諸国は今後も汚職を絶対に容認しないと表明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スウェーデン、ウクライナに戦闘機「グリペン」輸出へ

ワールド

イスラエル首相、ガザでのトルコ治安部隊関与に反対示

ビジネス

メタ、AI部門で約600人削減を計画=報道

ワールド

イスラエル議会、ヨルダン川西岸併合に向けた法案を承
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 9
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中