最新記事

インバウンド

マレーシア、観光誘致ロゴに批判止まず作り直し「オランウータンがサングラス? あり得ない!」

2018年8月15日(水)16時30分
大塚智彦(PanAsiaNews)

政権交代によってマレーシア観光芸術文化省は観光客誘致キャンペーンのロゴを作り直すことに

<日本同様マレーシアも2020年まで観光客誘致に力を入れているが、政権交代で批判の多かったキャンペーンロゴがさっそく作り直しの事態になっている。>

2017年から2020年までを「マレーシア観光年」として国際的に観光誘致を官民挙げて進めているマレーシア政府が8月14日、すでに発表された観光促進ロゴを変更することを決めた。理由は「あまりに時代遅れでダサい!」と国民の間から嘲笑の的になっていることを重く受け止めた結果という。

問題となっていたロゴは全体として切手のデザインで「ビジット マレーシア2020年 トラベル・エンジョイ・リスペクト」の文字とともに首都クアラルンプールの象徴でもあるペトロナスタワー(ツインタワー)が中心に描かれ、2020の二つの0の部分に椰子と海と亀のイラストとオランウータンとテングザルが並ぶ様子が描かれている。

2018年1月にこのロゴがマレーシア観光芸術文化省などで発表された直後から、国民の間で議論が沸騰、大半がロゴに反発するものだった。

なぜ亀、オランウータンがサングラス

国民の不満、批判が集中したのは、ロゴに登場する亀、オランウータン、テングザルというマレーシアを代表する動物がそろってサングラスをかけていることだ。

ネットなどに書きこまれた国民の不満は「時代錯誤であり、センスがない」「醜く不愉快」「サングラスをかける意味が不明」「亀、オランウータン、テングザルはサングラスをかけることはない」「標語にリスペクトとあるが動物へのリスペクが感じられない」など酷評に次ぐ酷評で、一部ではロゴ変更を求める署名運動も起き、数千人が名前を連ねたという。

こうした不満、批判の声に対して当時のナズリ・アブドゥール・アジズ観光芸術文化大臣は「ロゴを変更するつもりはない」として強硬姿勢を維持していた。

ところが2018年5月のマレーシア総選挙でそれまでのナジブ政権が野党連合に敗れ、政権交代が実現し、それに伴い観光行政のトップである大臣も交代した。

マハティール元首相率いる新政権で観光芸術文化大臣に抜擢されたのはモハマディン・ケタピ氏でボルネオ島サバ州の先住民族系という異色の大臣だった。

オランウータンは最も人間に近い類人猿でインドネシアとマレーシアにしか生息しない絶滅の危機に瀕した動物である。新大臣の出身地サバ州のセピロクには絶滅の危機に瀕したオランウータンのリハビリセンターがあり、密輸やペットから保護されたオランウータンを自然の森に返すためのリハビリが行われている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ11月米販売台数が4年ぶり低水準、低価格タイ

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P最高値更新、オラクル株急

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、FRBと他中銀の温度差に注

ワールド

トランプ氏「一段の利下げ望む」、前日のFRB決定歓
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中