最新記事

インバウンド

マレーシア、観光誘致ロゴに批判止まず作り直し「オランウータンがサングラス? あり得ない!」

2018年8月15日(水)16時30分
大塚智彦(PanAsiaNews)


現地のニュースでも発表直後からロゴへの批判が報じられていた Astro Awani / YouTube

コンテストで近く新デザイン

ケタピ大臣は地元メディアに対し「現在のロゴは変更する。そのための新デザインを決めるコンテストを近く開催したい」と変更することを決断した。

この決定に対し、Face Bookなどのインターネット上では「ついに醜く酷いロゴが変わることになった!」と歓迎する声があふれている。

この決定を受けてマレーシア観光局のインターネットのホームページ「ツーリズム・マレーシア」ではロゴが消え、ダウンロードもできなくなっている。ただし同ページでは評判が悪かったロゴについて「シンプルかつパワフルなデザインでマレーシアの多様多彩な観光資源をよく表している。オランウータンとテングザルは貴重なマレーシアの野生動物である」などと高く評価している文章がまだそのまま残されている。

魅力ある観光スポットの数々

マレーシアはマラッカ海峡の歴史的都市群やレンゴン渓谷の考古遺跡、ボルネオ島サバ州にあるキナバル山(標高4095メートル)を擁する自然公園、洞窟群とジャングルトレッキングのグヌン・ムル国立公園という文化、自然の世界遺産があるほか、ペナン島、ランカウイ島、ティオマン島などのリゾート島、
カジノのゲンティンハイランド、シルク王ジム・トンプソンが消息を絶ったキャメロンハイランドなど多くの観光スポットがある。

東南アジアの中では治安は比較的よく、イギリス連邦から独立したため英語もよく通じることや、マレー、中国、インドの民族と文化が混在する多様性も魅力となっている。

だが、マレーシアは観光キャンペーン期間の2017年から2020年までの間、毎年3600万人の観光客を誘致する構想を描いていたが、2016年の総観光客数が2676万人、2017年は2540万人と微減するなど、キャンペーンの効果は今のところ出ていないというのが実情だ。

このため政府、観光業界の総力を挙げて観光客誘致を進めているところで、評判の極めて悪かった「キャンペーンロゴ」の見直しはその一環となる。

もっともケタピ大臣は「これまでのロゴを全面的に破棄して変更するというより、改良する形で早期に新しいロゴを決めたい」としており、果たしてどんな新ロゴが誕生するか国民の期待が集まっている。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

ニューズウィーク日本版 Newsweek Exclusive 昭和100年
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月12日/19日号(8月5日発売)は「Newsweek Exclusive 昭和100年」特集。現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、月内の対インド通商交渉をキャンセル=関係筋

ワールド

イスラエル軍、ガザ南部への住民移動を準備中 避難設

ビジネス

ジャクソンホールでのFRB議長講演が焦点=今週の米

ワールド

北部戦線の一部でロシア軍押し戻す=ウクライナ軍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 4
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中