最新記事

アメリカ経済

アメリカ経済を自画自賛するトランプ発言は本当? その実態を検証してみた

2018年7月31日(火)10時04分

7月27日、トランプ米大統領は、第2・四半期GDP速報値が前期比年率4.1%増と力強い成長を記録しことについて、自身の指導力の下で経済が目覚ましく好転しつつある兆しだと称賛した。ところが事実はそれほど単純ではない。NYで27日撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

トランプ米大統領は27日、第2・四半期国内総生産(GDP)速報値が前期比年率4.1%増と力強い成長を記録しことについて、自身の指導力の下で経済が目覚ましく好転しつつある兆しだと称賛した。ところが事実はそれほど単純ではない。

以下にトランプ氏がGDP速報値発表後に行った3つの重要な発言を取り上げ、実態と照らし合わせてみる。

●トランプ氏「われわれは過去13年間で最も高い平均成長率を達成する流れにある。もしこのままの成長ペースなら、米経済はジョージ・W・ブッシュ政権やオバマ政権の時代に想定されていたよりも10年余り早く規模が2倍になるだろう」

検証:商務省のデータでは、今年上半期の米経済は年率3.1%の成長だったので、下半期が同じであれば年間でも確かに2005年以降で最高のペースを達成する。

しかしエコノミストの間では、成長率は今後鈍化するとの予想が一般的。なぜなら足元の強い成長は、駆け込み輸出という一時的要因がもたらしている面があるからだ。米政府が導入した関税に対する主要貿易相手の対抗措置が7月に発動されるのを前に、米国から大豆その他の製品が大急ぎで出荷された。

過去においても一時的要因が成長上振れにつながった局面は数多い。例えばオバマ政権下では4四半期、ジョージ・W・ブッシュ政権下では3四半期で成長ペースが加速したが、いずれもその後勢いが弱まった。

●トランプ氏「われわれは先の選挙以降で370万人の新規雇用を創出した。これは選挙期間中には考えられなかった数字だ」

検証:2016年11月の大統領選以降で、米国の雇用が370万人増加したのは間違いない。ただしそれは想定可能な伸びであり、実際には幅広く予想されていた雇用創出鈍化の動きの一部としてとらえられる。16年の選挙後の非農業部門雇用者数の月間平均増加幅は19万1000人で、それより前の2年間の21万9000人を下回っているのだ。米経済の雇用拡大は10年から続いてきており、エコノミストによると、失業者の減少もあって新規雇用は減速していく見込みだ。

●トランプ氏「減税を実施して最初の3カ月で、海外から米国に3000億ドル超が流入した」

検証:商務省のデータでは、昨年12月の税制改革により、米企業は今年第1・四半期に海外子会社から3056億ドルを国内に還流させた。

そして第1・四半期に企業は設備投資を拡大した。だが大手企業がより資金を投じたのは配当支払いと自社株買いであり、彼らの手元資金量の方が投資機会よりずっと多いことを示唆している。

アップルの場合、設備投資額は前年同期の30億ドルから42億ドルに増えた半面、自社株買いの規模は過去最高の235億ドルに達し、配当支払いにも32億ドルを費やした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプのイラン攻撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月10号(3月3日発売)は「トランプのイラン攻撃」特集。核・ミサイル開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。アメリカとイランの全面戦争は始まるのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=反発、イラン巡る外交に期待 ハイテク

ビジネス

NY外為市場=ドル反落、中東懸念後退でリスク選好回

ワールド

イラン、CIAに停戦協議打診も返答なし イスラエル

ワールド

トルコ、イランの弾道ミサイル迎撃 NATO防空シス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 8
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 9
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中