最新記事

中国経済

「一帯一路」で押し寄せる中国貨物 欧州鉄道網がパンクの危機に

2018年7月3日(火)16時30分

インフラの問題

欧州の対中貿易赤字を反映し、現段階では、欧州から中国への帰路便ははるかに渋滞が少ないという。

ポーランド政府関係者は、中国政府が国内市場を外国の製造業者に開放するために十分な努力をしていないとの懸念があると話した。ある当局者は、一帯一路の新シルクロード構想が、中国製品を欧州にあふれさせる一方通行の入り口になることへの懸念が高まっていると話した。

米国は現在、対中貿易赤字の解消をはかろうと、中国に貿易戦争をちらつかせている。

マワシェビチェでの渋滞が悪化するにつれ、昨年11月に中国との間の列車輸送を開始したフィンランドや、リトアニアやエストニアを経由するルートを検討し始めた輸送業者もある。

だが新たな輸送拠点には、輸送時間が長くかかったり、手続きになじみがなかったり、書類手続きの処理といった問題があったりするなどの欠点もあると、こうした業者は話す。

「輸送網全体のアップグレードと、さらなる駅の建設が必要だ」と、中国中部武漢から列車を運行する武漢漢欧国際物流の幹部は話す。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>傘下のロジスティックス会社ジャスダ・ヨーロッパのマネジング・ディレクター、Ronald Kleijwegt氏は、それは欧州にとっては難しい挑戦になると話す。

「もし、こうしたボトルネック解消の取り組みを始められれば、双方にとってウィンウィンとなる」と、Kleijwegt氏は話し、「だがサプライチェーンの需要やそこで必要とされることは、時に政治家には理解が難しいものだ」と付け加えた。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは156円ちょうど付近、日銀利上げで

ワールド

26年ブラジル大統領選、ルラ氏が右派候補に勝利との

ワールド

バングラで暴動、撃たれた学生デモ指導者死亡受け 選

ワールド

サウジ原油輸出、10月は2年半ぶり高水準 生産量も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中