最新記事

貿易

独メルケル首相、米輸入車へのEU関税引き下げに前向き

2018年7月6日(金)08時51分

 7月5日、ドイツのメルケル首相(写真)は、米国からの輸入車にEUが課す関税を引き下げることに前向きな姿勢を示した。米国が譲歩次第でEUからの自動車輸入に関税を課すとの案を撤回すると発言したことに応えた形だ。ベルリンで4日撮影(2018年 ロイター/Hannibal Hanschke)

ドイツのメルケル首相は5日、米国からの輸入車に欧州連合(EU)が課す関税を引き下げることに前向きな姿勢を示した。米国が譲歩次第でEUからの自動車輸入に関税を課すとの案を撤回すると発言したことに応えた形だ。

ただメルケル氏は、関税を巡るEUの交渉はEU共通の立場で行われるべきだとし、それに取り組んでいると説明した。

トランプ米大統領は6月、EU内で組み立てられた全ての自動車に対し20%の関税を課すと警告した。EU自動車メーカーによる米国市場でのビジネスモデルを覆す可能性がある案だ。

関係筋によると、駐ドイツ米国大使は4日にBMWとダイムラー、フォルクスワーゲンのトップおよび、コンチネンタルなどの自動車部品メーカーと会談し、EUが米国からの自動車輸入関税を撤廃すれば、トランプ大統領は米国の関税案を取り下げる可能性があると伝えた。

大使館報道官は、まだ正式な提案はなされていないとし、大使の目的はむしろ、より幅広い欧米通商合意に向けた選択肢を模索することだと説明。「まだ進行過程にある」と語った。

BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、コンチネンタルは会談の詳細を明らかにしていない。

メルケル氏は、米国の自動車への輸入関税を下げる場合、世界貿易機関(WTO)の規定の下、その他の国からの自動車に関しても同様の措置が必要だと述べた。

「関税引き下げを巡る交渉を支持する準備はできているが、米国に限定することはできない」と発言した。

ドイツ自動車工業連盟(VDA)は、双方が関税やその他の貿易障壁を撤回するような動きは明るい兆しとなるとした上で、「交渉は明らかに、政治レベルだけで行われている」と指摘した。



[ベルリン 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中