最新記事

米朝首脳会談

米朝首脳会談スタート 金正恩のためシンガポール「前例ない」厳重警備

2018年6月12日(火)09時50分

10日、シンガポールの市街地を警備する警察官(2018年 ロイター/Feline Lim)

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領が12日開催する首脳会談の最大の焦点は、北朝鮮の非核化だ。だがシンガポールに降り立った北朝鮮政府の要員にとっての最重要事項は、もっと狭い範囲に絞られている。

それは、彼らの指導者を守ることだ。

トランプ大統領と初の会談に臨む金委員長のセキュリティは、最大限に厳しいものになり、4月27日に行われた南北首脳会談を上回る手段が講じられる可能性が高いと、専門家やアナリストは予想する。

4月の南北首脳会談では、金委員長が乗ったメルセデスベンツが南北軍事境界線を移動するたびに、その周りを取り囲むように走って警備していた細身の男性ボディガード12人が国際的な注目を浴びた。

このような目立つ警備は、テレビの生中継向けの演出という側面が大きかったかもしれない。だが、指導者となって以降、中国と韓国以外では初となる金正恩氏の外国訪問に際し、北朝鮮の政府関係者がいかなるハプニングも未然に防ごうと全力を挙げることは、ほぼ間違いないと、韓国体育大学校のKim Doo-hyun教授は言う。

「首脳会談の場所と時間はすでに発表されているので、金正恩の警備は他のどんな要人よりも厳しくなるだろう」と、韓国の大学で初の警備に関する専攻を創設したKim教授は指摘。「警備について、北朝鮮は米国よりも多くの要求をシンガポールに対して行ったと考えていいだろう」と付け加えた。

防弾仕様の車両に加えて、北朝鮮の警備担当者は、首脳会談会場の周辺に何重にも警備を張り巡らし、金正恩氏の車両が移動する際は、その車両から周辺の注意を逸らそうとするだろうと、Kim教授は予想した。

「この首脳会談は、いま世界で最重要の問題であり、地上、海上、そして上空で、前例のない規模の警備が敷かれるだろう」と、韓国の著名警備会社トップガードのChae Kyou-chir最高経営責任者(CEO)は話す。

「金正恩は、北朝鮮では神のような存在であり、一方、国外ではその統治姿勢が理由で敵意の対象になっている。それだけで、北朝鮮政府関係者は、常に安全を心配しなければならない」とChae氏は指摘した。

また、金委員長はは、自国から同行するシェフが準備した食事をとる可能性が高いと、Chae氏は付け加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン、インドに対する軍事作戦開始と発表

ワールド

アングル:ロス山火事、鎮圧後にくすぶる「鉛汚染」の

ワールド

トランプ氏、貿易協定後も「10%関税維持」 条件提

ワールド

ロシア、30日間停戦を支持 「ニュアンス」が考慮さ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 7
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中