最新記事

米朝首脳会談

米朝首脳会談スタート 金正恩のためシンガポール「前例ない」厳重警備

2018年6月12日(火)09時50分

シンガポールで米側との警備の詳細も含んだ事前協議を終えた金正恩氏の秘書役の金昌善(キム・チャンソン)氏の姿が、先週には北京で目撃されている。

シンガポールに向かう機中で、金昌善氏は日本のTBSテレビに撮影されたが、その際目を通していた書類には、このように書かれていた。「(米朝)首脳会談の成功を保証するため、 第1と第2のプライオリティーは、金正恩委員長の安全を確保することだ」

安全確保に加え、北朝鮮の代表団は、金正恩氏のイメージ作りのために、警備担当者の陣容を調整する可能性もあると、韓国に脱北して今は世界北朝鮮研究センター所長を務める安燦一(アン・チャンイル)氏は言う。

「金正恩氏は、より親しみやすいイメージを演出するため、容姿の優れた女性ボディガードを同行させるかもしれない」と安氏は話る。

そうなれば、南北首脳会談後に韓国で改善した金正恩氏のイメージがさらに和らぐことになりそうだ。

シンガポールの支援

4月の南北首脳会談では、南北軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で、北朝鮮の警備担当者が、金正恩氏が記帳するために座る椅子を拭いて消毒。その際、芳名録や用意されたペンも消毒したが、金氏はそのペンは使わなかった。

別の警備担当者が、爆発物や録音機器を探知する装置を使ってこの部屋を調べる姿も目撃されている。

「4月の時と同じ規模の北朝鮮警備陣や安全プロトコールが用いられるかもしれない。だが今回は、特殊車両やスタッフなどはシンガポールに支援してもらうだろう」と、国家安保戦略研究院の主席研究員チョ・ソンリョル氏は予測する。

シンガポールの首脳会談の会場や、道路、ホテルの警備は、シンガポール警察の精鋭部隊「グルカ兵」が担うことになると、シンガポールの要人警備に詳しい外交筋は話した。

首脳会談が行われるシンガポール南部のリゾート地セントーサ島は、週内はシンガポール政府により特別行事区域に指定されている。

そのため、警察は通行者やその所持品をより厳重にチェックすることになるほか、域内では拡声器やドローンの使用が禁止されている。

チョ氏は、世界でもっとも安全な国の1つに数えられるシンガポールが、北朝鮮側に安全な場所を提供するのに苦労することはないと指摘する。

シンガポールの航空当局が6日に出した航空関係者向けの予告によると、シンガポール上空の飛行は首脳会談開催中は制限される。アジアで最も発着数の多い空港の1つであるシンガポールの空港で、遅延が発生しそうだ。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、早期利下げ不要 年内に物価上昇へ=アトラン

ワールド

イスラエル・イラン停戦、持続性は不透明とロシア外相

ビジネス

EXCLUSIVE-世界の中銀、準備資産で金・ユー

ワールド

イスラエル、イランへの攻撃指示 「停戦違反」主張 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 6
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 7
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 8
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中