最新記事

資源

中国依存を脱却へ 米国EV業界、国産リチウム産業の再興求める

2018年6月14日(木)14時25分

世界最大の生産企業であるアルベマールのエリック・ノリス最高戦略責任者によると、同社は25年前に閉鎖したノースカロライナ州の鉱山を再開するかどうか、初期段階の調査を進めている。

リチウム・アメリカス・コープ(LAC)も、ネバダ州で世界5位以内に入るリチウム鉱床を開発中。同鉱床は、米電気自動車大手テスラの電池工場「ギガファクトリー」の南320キロの地点にある。

ネバダ州の鉱床では粘土からリチウムを取り出すため、新たな抽出方法を開発する必要があるが、アレクシ・ザワズキー北米事業社長によると、埋蔵量が多いため、コストに見合うという。

同社は、リチウム生産世界2位のSQMと提携して、アルゼンチンでも事業を進めている。

USGSのアナリスト、ブライアン・ジャスクラ氏によると、米国は1990年代半ばまで長年にわたって世界最大のリチウム生産国だったが、チリが塩水からのリチウム資源回収を始め、コスト競争に勝てなくなったという。

米国のリチウム資源の大半は硬岩、地熱・油田塩水、粘土中に存在。南米の塩水から回収するよりも一般にコストがかかる。価格上昇を背景に資源開発の見通しは改善しているが、一部の鉱床では新しい採掘技術の開発が必要になる。資金調達上の競争もあり、米国での開発が停滞する可能性も残されている。

コンサルティング会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのアナリスト、アンドリュー・ミラー氏は「今後4─5年前後で(現在計画中の)プロジェクトの1つか2つで生産が始まる可能性は十分にある」との見方を示した。

[12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シェフチョビッチ欧州委員、来週インド訪問 自由貿易

ワールド

中国の対ブラジル投資が倍増、世界3位の投資先に浮上

ワールド

アフガン南東部で3度目の地震、M6.2 死者220

ワールド

関税合意の米大統領令署名と続投方針「関わりない」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中