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トランプ、薬価引き下げ表明 医薬品業界と外国政府を批判

2018年5月12日(土)10時00分

5月11日、トランプ米大統領は処方箋薬の価格抑制に関する演説を行った。製薬会社、保険会社、薬剤給付管理会社(PBM)が処方箋薬を高価で手の届かないものにしたと非難し、競争強化と価格引き下げに向けた措置を取ると表明した(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は11日、処方箋薬の価格抑制に関する演説を行った。製薬会社、保険会社、薬剤給付管理会社(PBM)が処方箋薬を高価で手の届かないものにしたと非難し、競争強化と価格引き下げに向けた措置を取ると表明した。

トランプ大統領は、製薬業界の「中間業者」が大きな富を得ているとして排除する方針を示したほか、医薬業界のロビー団体についても、納税者の金で富を得たと批判した。

「この破綻した制度に関与する製薬会社、保険会社、販売業者、PBMなどすべてが薬価問題に寄与している」と言明した。

また、米国内よりも安い薬価を求め交渉している外国政府についても、米製薬会社に不当な引き下げを強要しているとして批判した。

米保健社会福祉省は「アメリカの患者ファースト(American Patients First)」と題した詳細な計画を公表。メディケア(高齢者向け公的医療保険)パートD(処方せん薬給付)管理会社の製薬会社との価格交渉能力を高めることなどが含まれる。

ただ専門家からは、トランプ大統領の提案は業界の抜本的な見直しというよりもレトリックにすぎないとの指摘が聞かれた。

ボストン大学のサム・リチャードソン准教授は「細かなテクニカル上の変化に過ぎず、大きな変化をもたらすような目立った提案に欠ける」と述べた。

米株式市場でも、トランプ大統領の演説後、ヘルスケア関連銘柄が1日としては1カ月ぶりの大幅高になるなど、業界への影響は軽微との見方が大勢であることを浮き彫りにした。

[ロイター]


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