最新記事

非核化

北朝鮮の金英哲がNY到着、米ポンペオ国務長官と協議へ 非核化でなお溝

2018年5月31日(木)10時00分

5月30日、北朝鮮・朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長が、米ニューヨークに到着した。ホテルに到着する同副委員長(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

北朝鮮・朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長が30日、米ニューヨークに到着した。30日夜と31日にポンペオ米国務長官と会談し、米朝首脳会談に向けた協議が行われるもよう。ただ、最大の焦点である北朝鮮の非核化を巡る双方の意見の隔たりはなお残るとみられる。

史上初の米朝首脳会談は当初、6月12日に予定されていた。しかしトランプ米大統領は先週24日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に宛てた書簡で、首脳会談を中止すると通告。翌日は思い直したと発言し、両国の当局者が会談に向けて協議していると話した。

ポンペオ長官は金英哲氏との対面前にツイッターに投稿。「ニューヨークで金英哲氏と会い、米朝首脳会談に向けて話し合うことを楽しみにしている」とした上で、「われわれは完全で検証可能かつ不可逆的な(方法での)朝鮮半島の非核化を目指している」と書き込み、トランプ政権の方針を強調した。

ホワイトハウス報道官は30日、米朝首脳会談の実現に向けた韓国と北朝鮮の軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)で進められている協議は順調で、首脳会談は6月12日に行われる公算が大きいとの見方を示した。

米当局者が匿名を条件に語ったところでは、米朝首脳会談の議題を巡るこれまでの協議に大きな進展はなく、北朝鮮の非核化の定義と、北朝鮮の非核化とその見返りとして米国が経済支援などを行う時期が同時なのか、別々なのかという2つの大きな論点で議論が決着していない。

同当局者によると、米国としては、北朝鮮が経済支援や制裁緩和などの措置を受ける前に非核化の完了に合意することを求めている。一方、北朝鮮側は、非核化の誓約だけでまず経済支援の道が開かれるべきとの姿勢でポンペオ長官との協議に臨んでいるという。

韓国の聯合ニュースによると、韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は30日、非核化を巡る米朝の意見にはまだ「かなり大きな」隔たりがあり、その解消は容易ではないが、双方が歩み寄る可能性はあるとの考えを示した。

[ニューヨーク 30日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗弊インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金価格、最高値更新続く 米利下げ観測などで銀も追随

ビジネス

ソフトバンク株がプラス転換、PayPayが12月に

ワールド

インドとカナダ、関係改善へ新ロードマップで合意

ワールド

仏、来年予算300億ユーロ超削減へ 財政赤字対GD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 10
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中