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福田財務次官、セクハラ疑惑で週明けにも辞任 安倍政権にさらなる痛手に

2018年4月18日(水)19時10分

4月18日、麻生太郎財務相(写真)は、セクハラ疑惑が取りざたされている福田淳一事務次官から辞職の申し出があり、認めたと語った。3月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

麻生太郎財務相は18日、セクハラ疑惑が報じられた福田淳一事務次官の辞任を発表した。財務次官が不祥事によって任期途中で辞任するのは、1998年の旧大蔵省時代に起きた接待汚職事件以来、約20年ぶり。野党は麻生太郎財務相の監督責任を強く追及し、辞任を求めており、安倍晋三政権にとって打撃が一段と大きくなるリスクも出てきた。

麻生財務相は18日夕に緊急会見し、福田次官から辞表提出があったこと明らかにするとともに「(辞任を)認めた」と語った。正式な辞任は閣議の了解を経て週明けになるとみられ、財務次官の職務は矢野康治官房長が代行する。

福田次官は、辞表提出後、記者団との会見に応じ「報道が出たこと自体が不徳の致すところだ。報道後の現状に鑑みると、次官としての職責を果たすことが困難になると考えた」と辞任の理由を説明した。

ただ、「週刊誌に掲載された私に関する記事については、事実と異なるもの」と述べ、セクハラの疑惑に真っ向から反論。裁判で争う姿勢を示した。

福田次官は、週刊誌報道を巡り「録音された声が自分のものかどうか分からない」とする一方、「書かれているような、あんな発言をしたことはない」と言い切った。記者との会食については「(財務省記者クラブの)財政研究会は男性記者の方が多いので、男性記者を中心に会合を持っている」とも語った。

福田次官は財務省の聞き取り調査に対し、「女性が接客しているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある」と述べていた。

今回の福田次官の辞任表明で、財務省を巡る強い批判が鎮静化する兆しは全くみえない。同省では、学校法人「森友学園」の決裁文書改ざんで、福田次官と同期の佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任したばかり。

また、週刊誌でセクハラ疑惑が報道された直後、麻生財務相が直ちに福田次官への処分を行わなかったことに対し、野党からは強い批判が出ている。

立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は18日、福田次官の辞任表明について「次は麻生財務相の任命責任が問われる」と指摘。希望の党の玉木雄一郎代表も、麻生財務相の辞任に言及するとともに「安倍首相の責任も厳しく問われる」と語った。

安倍政権を巡っては、福田次官のセクハラ疑惑だけでなく、森友学園に関する8億円値引きや加計学園に関する元首相秘書官の発言を巡る問題、自衛隊のイラク派遣時の日報問題など多岐にわたる指摘を野党から受けている。

今のような国会の混乱が続いた場合、安倍内閣が最重要と位置付ける「働き方改革関連法案」の審議が進まず、会期内成立に必要な5月中旬までの衆院通過も危ぶまれる状況になっている。

日米首脳会談を終えて20日に帰国する安倍首相にとって、政権維持に向けた大きな「難所」が待ち受けている。

(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)

[東京 18日 ロイター]


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