最新記事

脳科学

脳の自己再生力を高める細胞が新たに発見される

2018年4月12日(木)15時20分
松岡由希子

ショウジョウバエの脳の幹細胞。緑色/赤色/黄色が新しいニューロンを生成している Credit: Andrea Brand/Leo Otsuki

<ケンブリッジ大学の研究者が、再生能力を持つ脳の休止幹細胞を発見。脳の自己治癒力を高める方法が存在する可能性が出てきた>

脳は、自己治癒力に乏しく、かつては、脳卒中やアルツハイマー病などによって一度損傷を受けると再生しないと考えられていた。しかし、昨今、脳科学の進歩によって、損傷された脳を修復する、いわゆる再生医学の研究が、積極的にすすめられている。

そして、このほど、細胞の自己複製能力と別の種類の細胞に分化する能力を合わせもつ「幹細胞」のなかに、脳の損傷や疾患から再生する力を持つものが存在することがわかった。

高い再生能力を持つ、新たな脳の休止幹細胞を発見

英ケンブリッジ大学ガードン研究所の研究プロジェクトは、2018年4月、学術雑誌「サイエンス」において、既知のものよりも高い再生能力を持つ、新たな脳の休止幹細胞を発見したことを報告した。

G2期(細胞周期における分裂前準備期)で休止状態になっているこの幹細胞は、活性化されると、脳の神経細胞や神経膠細胞において重要な細胞を、既知の幹細胞よりも速く生成するのが特徴だ。

幹細胞は、脳のあらゆる細胞を生成する能力を有するが、通常は、休止状態にあり、新しい細胞を増殖させたり、生成したりすることはない。従って、幹細胞に働きかける再生医療においては、まず、幹細胞を休止状態から活性化させることが不可欠なのである。

1-sleepingstem.jpg

幹細胞は赤、核膜は緑、DNAは青色で標識される Credit: Andrea Brand/Leo Otsuki

休止幹細胞を制御する遺伝子に働きかける

そこで、研究プロジェクトは、ヒトのDNAとよく似ており、疾病に関連するヒトの遺伝子の60%が存在するショウジョウバエを使って、G2期で休止状態となっている幹細胞を制御する「Trbl」という遺伝子を特定し、この遺伝子がG2期にある神経幹細胞を休止状態へと誘っていることを明らかにした。

ニュース速報

ビジネス

ホンダ、研究開発体制を見直し 品質問題多発で効率化

ワールド

韓国大統領が23日に訪中、日中韓首脳会談に出席

ビジネス

中国自動車販売、11月は17カ月連続の前年割れ N

ビジネス

監視委、日産に課徴金勧告24億円 虚偽記載で過去2

MAGAZINE

特集:進撃のYahoo!

2019-12・17号(12/10発売)

メディアから記事を集めて配信する「巨人」プラットフォーマーとニュースの未来

人気ランキング

  • 1

    東京五輪、マラソンスイミングも会場変更して! お台場に懸念の米水泳チームが訴え

  • 2

    「生理ちゃんバッジ」に中国人が賛成だった理由

  • 3

    米下院のウイグル人権法案、中国が香港問題以上に反発する理由

  • 4

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 5

    筋肉だけでなく、スピード・反射神経も高める「囚人…

  • 6

    熱帯魚ベタの「虐待映像」を公開、動物愛護団体がボ…

  • 7

    「働き方」を変えている場合か! 日本がこのまま「…

  • 8

    対中感情が欧米で悪化──米加は過去最悪(米調査)

  • 9

    日本の格差社会が「お客様」をクレーマーにし、店員…

  • 10

    トランプのウクライナ疑惑より切実な「ウクライナ問…

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」組の絶望

  • 3

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 4

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

  • 5

    ウイグル人権法案可決に激怒、「アメリカも先住民を…

  • 6

    『鬼滅の刃』のイスラム教「音声使用」が完全アウト…

  • 7

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 8

    5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前…

  • 9

    韓国保守派のホープを直撃した娘の不祥事

  • 10

    サムスン電子で初の労組結成──韓国経済全体に影響す…

  • 1

    食肉市場に出回るペット 出荷前には無理やり泥水を流し込み...

  • 2

    「愚かな決定」「偏狭なミス」米専門家らが韓国批判の大合唱

  • 3

    「日本の空軍力に追いつけない」アメリカとの亀裂で韓国から悲鳴が

  • 4

    元「KARA」のク・ハラ死去でリベンジポルノ疑惑の元…

  • 5

    「韓国は腹立ちまぎれに自害した」アメリカから見たG…

  • 6

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 7

    文在寅の経済政策失敗で格差拡大 韓国「泥スプーン」…

  • 8

    GSOMIA継続しても日韓早くも軋轢 韓国「日本謝罪」発…

  • 9

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 10

    日米から孤立する文在寅に中国が突き付ける「脅迫状」

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
ニューズウィーク試写会ご招待
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月