最新記事

サウジアラビア

サウジアラビア、憎きカタールを核廃棄物で孤島化する計画

2018年4月11日(水)17時05分
デービッド・ブレナン

半島国家カタールの首都ドーハの上空をデモ飛行するカタール軍の戦闘機 Fadi Al-Assaad-REUTERS

<2017年6月に隣国カタールを断交し、経済的にも封鎖してきたサウジアラビアだが、今度は物理的にもカタールを孤立させようとしている>

サウジアラビアが、対立する隣国カタールをいっそう孤立させようとしている。半島国家のカタールが陸のサウジアラビアと接する部分に核廃棄物処理場や幅約200メートルもの運河を建設して、カタールを陸の孤島にする計画なのだ。

政府系のアルリヤド紙とオンライン新聞「sabq」の報道によれば、サウジアラビアは全長60キロに及ぶカタールとの国境沿いに軍事基地と核廃棄物処理場と幅約200メートルの運河を建設し、カタールを物理的にも孤立させる計画。

両国の関係は、2017年6月にサウジ主導の中東諸国がカタールと国交断絶して以来、危機に陥っている。

サウジアラビアとその同盟国であるバーレーンやアラブ首長国連邦(UAE)、エジプトなどは、カタールが中東でのテロ活動を支援していると非難しているが、カタール政府はそれを否定している。

どうやらサウジアラビアは、外交や貿易、渡航を断つ通常の断交では満足できなくなったようだ。「サルワ・マリン運河プロジェクト」と呼ばれるこのプロジェクトでは、国境地帯に軍事基地と核廃棄物処理場を建設する。

UAEも廃棄物処理場を建設

核廃棄物は、サウジが建設を計画している原子炉から出るものだ。国境はさらに、広い運河によって仕切られる。UAEも、国境上のカタールにもっとも近い場所に、核廃棄物処理場を建設する予定だ。

sabqの報道によれば、運河はスエズ運河を建設したエジプト企業が建設する。幅200メートル、深さ20メートルほどの運河は、完成にはおよそ1年かかる。建設費用は約7億5000万ドルで、資金はサウジとUAEの民間投資家が出資する。

臨海部に運河が新たに建設されることで、リゾート、プライベートビーチ、クルーズ船の投資機会が生まれる、とsabqは報じている。

アルリヤド紙の報道によれば、サウジ・カタール間の国境検問所からは、税関や入国管理の担当者がすでに撤退し、国境警備隊が警戒にあたっているという。

建設計画はまだ正式な承認を受けておらず、承認までには多くのハードルを越える必要があるが、計画を見るだけでも、サウジとカタールの関係が過去1年で著しく悪化しているのは明らかだ。

UAEのアンワル・ガルガーシュ外務担当国務相はツイッターで、報道を認めたともとれる発言をしている。提案されている「徹底した地理的な隔離」は、「カタールが危機の対応と解決に失敗した証だ」と、言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マクロスコープ:消えない予算年度内成立論、高市首相

ワールド

ロ・ウクライナ和平協議、領土問題が焦点に ジュネー

ワールド

米軍部隊100人がナイジェリア到着、イスラム過激派

ワールド

イタリア、ガザ警察訓練支援の用意 「平和評議会」に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中