最新記事

北朝鮮

韓国大統領府「南北会談で終戦宣言の可能性も」 高まる期待に国民は?

2018年3月14日(水)23時04分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

朝鮮半島の平和構築のための新ベルリン宣言を発表する文在寅大統領。昨年7月6日ベルリンにて YTN / YouTube

<韓国、そして米国へと、対話攻勢を繰り出す金正恩。朝鮮半島の非核化や米朝国交正常化などが議題になると予想されるなか、朝鮮戦争の「終戦宣言」も含めて課題を一気に解決するのではないかという分析も出てきた>

4月末に予定されている韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による南北首脳会談。韓国側では、既にこの歴史的な対話に向けて準備委員会を今週にも発足させ、日程や議題などを北朝鮮側と調整することになった。

韓国メディアのNEWS1などによると、大統領府の関係者が14日記者団に会った際、「南北首脳会談で終戦宣言や平和条約の締結などについて議論することはあるのか?」という記者からの質問に対し、「大統領の昨年7月の新ベルリン宣言やその他の発言からすると、想定範囲内のことだ」と明らかにしたという。

事実、3月5日に文大統領の特使団が北朝鮮を訪問して金委員長と会った際、金委員長が「文大統領の新ベルリン宣言の内容を知っている」と言及したと伝えられており、4月の南北首脳会談がこの内容に沿って議論されるのではないかと推測されている。

この新ベルリン宣言だが、文大統領が2017年のG20ハンブルクサミットの際に、ベルリンを訪問して行った講演で発表したもので、

1)朝鮮半島の平和追求
2)北朝鮮の体制を保障する朝鮮半島非核化の追求
3)恒久的な平和体制の構築
4)朝鮮半島の新経済指導構想推進
5)非政治的交流の協力は政治・軍事的状況とは分離し一貫して持続

という5つの柱からなる。2000年に金大中(キム・デジュン)大統領が発表して、史上初の南北首脳会談を行うきっかけとなった「ベルリン宣言」の精神を受け継ぐものとして、文大統領が提唱したものだ。


果たして南北首脳会談で新ベルリン宣言の内容が合意できるか? YTN / YouTube

文大統領は、この新ベルリン宣言の枠組のうえに、朝鮮半島の平和のために包括的な交渉をするため、朝鮮戦争の終戦宣言と平和体制の構築など、大きな枠組での議論が交わされることが予想されるわけだ。

金根植(キム・グンシク)慶南大学教授は、「文大統領がトランプ米大統領よりも金委員長と先に会って、終戦宣言や平和体制構築のような包括的な内容について対話することで、米朝首脳会談の大きな道筋をつけることができるだろう。先に作っておいた枠組の中にトランプ大統領を囲い込むという狙いもあるようだ」と分析する。

過去、2000年と2007年の2回の南北首脳会談では、南北関係を中心に議論が展開したが、今回は米朝関係改善の扉を開くための呼び水的な性格があるという説明だ。

実際、大統領府の関係者は、「これまでの南北の交渉では、制裁緩和しながら段階的に対話をしてきたが、今回もそうなるとは限らない。複雑に絡み合っている問題の結び目を"ゴルディアスの結び目"のように一刀両断で解決する方向にいくことが可能だ」と説明した。

ただ、一方では北朝鮮が以前にも朝鮮半島の平和を約束しながら、突然、核・ミサイル実験をして態度を変えたことがあるだけに、南北首脳会談で平和体制に対する包括的協議が行われたとしても、それ自体にはなんら意味もないという冷ややかな分析もある。

北朝鮮は2005年、すべての核計画の放棄を約束した6カ国協議共同声明を関係国と共に発表したが、2006年10月に第1次核実験を行った。また2007年にも6カ国協議共同声明を履行すると約束したものの、2009年5月に第2次核実験を実施した。

韓国国防安保フォーラムのムン・グンシク対外協力局長は、「北朝鮮が今一番望んでいるのは制裁緩和だ。終戦宣言のような包括的な問題は米国と相対するということで、南北首脳会談では、経済支援を要求するレベルに落ち着く可能性もある」と話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中