最新記事

ロシア

ロシアが誇る「無敵」核兵器をアメリカは撃ち落とせない

2018年3月7日(水)17時50分
トム・オコナー

1日にプーチンが言及した新兵器の中でも、原子力エンジンの巡航ミサイルは特に注目に値する。というのも、これまで開発されたことがない、全く新しいタイプの兵器だからだ。これに最も近い兵器としては、アメリカが20世紀半ばに計画したものの頓挫した、超音速低高度ミサイルが挙げられる。これは原子力エンジンによって最高速度がマッハ3に達する巨大なミサイルを開発するプロジェクトだった。

しかしポピュラー・サイエンスによれば、こうした兵器は実験を行うことさえ非常に危険なため、計画は放棄されたという。アメリカのミサイル防衛システムは、高高度からのICBMによる攻撃を想定して設計されているため、ロシアの新しい巡航ミサイルは、防衛網をかいくぐる可能性がある。

プーチンは、「これは、核弾頭を搭載して低空飛行するステルス・ミサイルだ。実質的に射程距離に制約はなく、その軌道は予想不能で、迎撃システムを回避する能力を持つ。既存の、そして今後登場するであろうすべてのミサイル防衛システムや対空防衛システムに対して無敵だ」

超音速ミサイルのキンジャールも、アメリカにとって恐るべき脅威になるだろう。プーチンによると、高速爆撃機に搭載されるこのミサイルは、音速の10倍のスピードで飛行し、飛行中の爆撃機からも発射が可能だという。これにより、既存のものだけなく将来的に登場するあらゆるミサイル防衛システムを回避し、核兵器あるいは通常兵器によって約2000キロ圏内にある標的を破壊することが可能だという。

また、巨大核魚雷カニヨンは、18年2月に米国防総省が概要を明らかにした核戦略見直し(NPR)において、「世界を破滅させる兵器」と名指しされていた。2015年にこの資料が誤って公開された際のBBCニュースの報道によると、この兵器は100メガトン級の核爆弾を搭載可能で、水中では最深1000mの軌道を経由し、射程距離は1万kmに達するという。

カニヨンの100メガトンという威力は、これまで実際に製造された中で最も強力な核兵器である「ツァーリ・ボンバ」(「爆弾の皇帝」の意)の2倍に相当する。旧ソ連が開発し、1961年に大気圏内実験を行った水爆「ツァーリ・ボンバ」は、約50メガトンの威力があった。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米FRBの短期国債購入、予定通り4月中旬以降縮小=

ワールド

イランはエネ施設攻撃の停止要請せず、トランプ氏発言

ビジネス

ローム、パワー半導体で「新たな決定事項ない」 3社

ワールド

中国、米との経済・貿易協力に意欲 王商務相とグリア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRANG』に託した想い、全14曲を【徹底分析】
  • 4
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 5
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中