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東日本大震災

震災7年、福島第1原発の凍土壁に疑問符 増え続ける「処理水」に手立てなく

2018年3月9日(金)16時23分


●保管場所

一方、汚染水から専用装置で放射性物質を除去した「処理水」の保管場所が、21年初めまでになくなる可能性が浮上している。周囲の土地を東電が買って保管場所を確保する動きもなく、有効な手だてがないままの状態が続く。

汚染水の浄化プロセスでは62種類の放射性物質を除去するが、トリチウム(三重水素)が残る。少量では人体に有害な影響を及ぼさないとされ、世界中の原発で、トリチウムは海洋や河川に排出されている。

だが、特に地元の漁業関係者からは反対の声が上がる。消費者から福島産の海産物を遠ざけてしまいかねないとの危惧があるためだ。福島県漁連の澤田忠明氏はこう話す。「風評被害が一番大きい問題。業界としては海洋放出に反対しているが、われわれが決めることではない」

経済産業省の「トリチウム水タスクフォース」は、16年6月に報告書を公表した。処理水の扱いについて、海洋放出を含めた5つの選択肢を示しているが、政府がいつ方針を決めるかは不透明だ。

米ウッズホール海洋研究所の専門家、ケン・ビュセラー氏は、国民の不安に対処するためにも、東電は処理水を保管するタンクを外部組織に検査させるべきとの見方を示す。「国民から見れば(処理水が安全だという)第三者による裏付けが欲しいはずだ。凍土壁を作るより、はるかに簡単で安価な方法だろう」と述べている。

(フォスター・マルコム アーロン・シェルドリック 翻訳編集:梅川崇)

[大熊町(福島県) 8日 ロイター]


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